外壁の後退距離制限についてまとめました。

不動産知識

こんばんわ。
コマドリです。

 不動産を購入するときにある重要事項説明書の中に、以下のような建築制限についての説明欄があります。

その他の建築制限□外壁後退距離制限(第1種、第2種低層住居専用地域又は田園住居地域に場合)
1.5m以上or1m以上
□敷地面積の制限:最低限度〇〇〇㎡
上記表は一例です。

 この建築制限は、その土地に建てられる隣地境界線から外壁の位置を制限するもので、中古住宅を購入するだけではあまり気にならない部分になろうかとおもいます。

 ただ、この建築制限は再建築するときなど建物を建てるときには大事になってくる制限になりますので、知っておくといいと思います。
もし知っていれば、どうしてこの地域は建物が密集してないのだろう?ということも納得がいくと思います。

 今回はその建築制限の中でも、「外壁の後退距離制限」について解説します

 この規制は簡単にいうと、家の壁と敷地境界の間のスペースを空けることにより、日照や風通し、景観などを考慮されて規制されたものです。

 それについて条文交えて詳しくご説明しますのでぜひ読んでいってください。

外壁の後退距離とは何か?

 外壁後退距離とは、建物の外壁(壁面)から敷地境界線までの距離を指します。
 つまり、建物の壁面が敷地の境界線からどれだけ離れているかを規定する基準です。
 この距離は、都市計画や建築基準法によって定められており、建物の設計や配置に影響を与えます。

外壁の後退距離の目的

外壁の後退距離に制限を設ける目的は、以下の点にあります。

  1. 防火・安全対策:
    • 外壁の後退距離を確保することで、隣接する建物との距離を確保し、火災の拡大を防ぎます。
      また、避難経路や消防車の通行スペースを確保するためにも重要です。
  2. 日照・風通しの確保:
    • 外壁の後退距離を適切に設定することで、日照や風通しを確保します。
      建物同士が密集している場合、日照が不足したり、風通しが悪くなったりすることを防ぎます。
  3. 景観の維持:
    • 建物が敷地境界線に近すぎると、景観が乱れる可能性があります。
      外壁の後退距離を設けることで、美しい景観を維持し、周囲の環境に調和した建物配置を実現します。
  4. 隣地との調和:
    • 隣接する土地所有者との調和を図るためにも、外壁の後退距離を遵守することが重要です。
      隣地とのトラブルを避けるためにも、適切な距離を保つ必要があります。

外壁の後退距離の根拠法令

 建築基準法第54条に規定されています。

(第一種低層住居専用地域等内における外壁の後退距離)
第五十四条 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内においては、建築物の外壁又はこれに代わる柱の面から敷地境界線までの距離(以下この条及び第八十六条の六第一項において「外壁の後退距離」という。)は、当該地域に関する都市計画において外壁の後退距離の限度が定められた場合においては、政令で定める場合を除き、当該限度以上でなければならない。
  前項の都市計画において外壁の後退距離の限度を定める場合においては、その限度は、1.5m又は1mとする。

建築基準法第54条第1項、第2項条文

外壁の後退距離の適用地域

 第一種低層住居専用地域
 第二種低層住居専用地域
 田園住居地域

 以上3地域のみ適用となります。

外壁の後退距離の規制内容

 第一種、第二種低層住居専用地域や田園住居地域における建築物の外壁の後退距離は、都市計画で定められた限度以上でなければならず、その限度は通常1.5mまたは1mです。
 政令で特別な規定がない限り、この規則が適用されます。

外壁の後退距離の緩和規定

外壁中心線の長さによる緩和措置

 外壁中心線の長さが合計で3m以下の場合、後退距離を満たさなくてもよいとされています。
 例えば、建物の角が1辺1.5m以内の正三角形程度に後退ラインをはみ出すことが許可されます。

(第一種低層住居専用地域等内における外壁の後退距離に対する制限の緩和)

第百三十五条の二十二 法第五十四条第一項の規定により政令で定める場合は、当該地域に関する都市計画において定められた外壁の後退距離の限度に満たない距離にある建築物又は建築物の部分が次の各号のいずれかに該当する場合とする。

 外壁又はこれに代わる柱の中心線の長さの合計が3m以下であること。

建築基準法施行令第135条の22の1

物置などの小規模建築物に関する緩和措置

 物置や倉庫などの小規模建築物で、軒の高さが2.3m以下かつ床面積が5㎡以下の場合、外壁後退距離の制限から免除されます。

 物置その他これに類する用途に供し、軒の高さが二・三メートル以下で、かつ、床面積の合計が五平方メートル以内であること。

建築基準法施行令第135条の22の2

また、上記2つの緩和措置については、一つの敷地内で同時に適用することができます。

外壁の後退距離の調査方法について

  一番手っ取り早いのは、インターネット検索です。
  「{自治体名} 北側斜線制限」で検索するとヒットしやすいと思います。 
  それでも探しきれない場合には、自治体の建築指導課に電話確認するとよいです。

まとめ

・外壁後退距離は、建物の外壁から敷地境界線までの距離を指します。都市計画や建築基準法によって定められ、建物の設計や配置に影響を与えます。

・外壁の後退距離には、火災防止や安全確保、日照・風通しの保持、景観維持、隣地との調和を目的とした制限が設けられています。これにより、建物間の適切な距離を保ち、安全かつ快適な住環境を実現します。

・建築基準法第54条によると、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域における建築物の外壁の後退距離は、通常1.5mまたは1m以上でなければならない。

・建築基準法に基づく外壁の後退距離の規制では、通常1.5mまたは1m以上を要求していますが、外壁中心線の長さが3m以下の場合や小規模建築物には緩和措置が適用され、これらは同一敷地内で併用可能です。

今回は、建築制限のうちのひとつ「外壁の後退距離制限」について解説しました。

 以下の記事では、それ以外の建築制限について解説していますので、こちらの記事もぜひ併せて読んでみてください。

 敷地面積の最低限度

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