こんにちわ
コマドリです。
私たちの生活の中で、公共の利益のために土地が使われることは珍しくありません。
新しい道路や公園、学校などの建設は、多くの人々の生活を豊かにし、便利にします。
しかし、これらの公共施設を建設するためには、土地が必要です。そこで登場するのが「土地収用法」です。
土地収用法は、公共の利益のために必要な土地を、国や地方自治体が所有者から収用する際のルールを定めた法律です。
この法律は、公共事業の進行をスムーズにする一方で、土地を失うことになる所有者の権利も保護するための重要な役割を果たしています。
では、具体的にどのような場合に土地収用法が適用されるのでしょうか?
例えば、新しい鉄道の路線を敷設するためや、災害対策として堤防を築くためなど、公共の安全や利便性を高めるためには、多くの土地が必要になります。
これらの土地を確保するために、土地収用法に基づく手続きが行われるのです。
土地収用法のもう一つの大きな特徴は、補償です。
土地を収用される所有者には、その土地の価値に見合った補償が行われます。
これにより、所有者が不当な損失を被ることなく、公共事業が進められるようになっています。
しかし、土地収用には複雑な手続きが伴います。
所有者と行政との間で意見が対立することも少なくありません。
そんな時、どのようにして紛争を解決するのでしょうか?また、所有者はどのような権利を持っているのでしょうか?
このブログ記事では、これらの疑問に答えるために、土地収用法の基本的な知識をわかりやすく解説していきます。
土地収用法を理解することで、私たちの権利を守り、より良い社会を築くための一歩を踏み出しましょう。
土地収用の目的
土地収用法は、公共の利益になる事業に必要な土地の収用または使用に関して、その要件や手続き、収用に伴う損失の補償などについて規定した法律です。
具体的には、以下の目的を持っています。
- 公共事業の実施: 道路、公園、下水道、学校などの公共事業に必要な土地を確保するために収用が行われます。
- 土地の適正利用: 土地を効率的に利用し、国土の適正な利用を促進します。
(この法律の目的)
土地収用法第1条、第2条
第一条 この法律は、公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し、その要件、手続及び効果並びにこれに伴う損失の補償等について規定し、公共の利益の増進と私有財産との調整を図り、もつて国土の適正且つ合理的な利用に寄与することを目的とする。
(土地の収用又は使用)
第二条 公共の利益となる事業の用に供するため土地を必要とする場合において、その土地を当該事業の用に供することが土地の利用上適正且つ合理的であるときは、この法律の定めるところにより、これを収用し、又は使用することができる。
土地収用手続き
土地収用の主要な手続きについて簡単にご説明します。
以下の流れで進みます。
- 事業認定手続き:
- 事業認定申請書の作成(起業者)
- 事業認定の申請(起業者 → 収用委員会)
- 収用委員会審理
- 権利取得裁決・明渡裁決(収用委員会 → 起業者・土地所有者等)
- 収用裁決手続き:
- 調書の作成(起業者)
- 裁決手続の開始(起業者 → 収用委員会)
- 補償金の支払い請求(起業者 → 土地所有者等)
- 権利取得・明渡し(土地所有者等 → 起業者)
- 補償について:
- 補償金は、収用される土地の近隣の価格を参考に決定されます。
- 所有権以外の権利(抵当権など)についても適切な補償が行われます。
- 残地の価格が下がる場合、差額が補償されます。
- 代替地が補償されることもあります。
紛争解決
土地収用法における紛争解決には、以下の手続きがあります。
- あっせん:
- 事業認定の告示前における自主的な紛争処理手続です。
- 都道府県知事が主宰し、あっせん委員が関与します。
- 申請書を提出し、あっせん委員の仲介により紛争を解決します。
- 事業認定の告示後は申請できません。
- 仲裁:
- 事業に係る用地買収に関して、対償についてのみ協議が成立しない場合に活用されます。
- 関係当事者全員の合意の上、仲裁委員の判断に従って紛争を解決します。
- 仲裁判断は確定判決と同じ効力があります。
- 協議の確認:
- 事業の認定の告示後、収用又は使用の裁決の申請前に限り、協議が成立した場合に活用されます。
- 協議の内容が法定要件に適合する場合、収用委員会に協議の確認を申請できます。
- 和解:
- 収用委員会が審理の途中で和解を勧めることがあります。
- 和解調書が作成された場合、権利取得裁決又は明渡裁決と同じ効力があります。
これらの手続きは、土地収用法に基づき、公共の利益と私有財産の調整を図りつつ、紛争を解決するための制度です。ご参考までに、詳細な法的規定は各都道府県の収用委員会のホームページでご確認いただけます。
不動産取引における重要事項説明での説明される箇所はどこ?
実際に、重要事項説明で説明が行われる土地収用法の部分は、宅地建物取引業法施行令第3条 50号に明記されております。
その内容は、土地収用法第28条の3第1項です。
詳しく話すと、以下のとおりです。
事業の認定要件(土地収用法第20条)
事業の認定は、以下の要件を満たす場合にのみ行われます。
- 事業が土地収用法第三条各号に掲げる公共の利益となる事業に関するものであること。
- 起業者が当該事業を遂行する意思と能力を有していること。
- 事業計画が土地の適正かつ合理的な利用に寄与するものであること。
- 土地を収用または使用する公益上の必要があること。
事業の認定と告示(同第26条)
・国土交通大臣または都道府県知事は、公共の利益となる事業に必要な土地の収用または使用に関する事業を認定した場合、遅滞なくその事実を起業者に通知し、官報または都道府県知事が定める方法で告示します。
・告示には、起業者の名称、事業の種類、起業地、事業の認定理由、および図面の縦覧場所が含まれます。
土地の保全(同28条の3)
・事業の認定告示後、誰もが都道府県知事の許可なくして、事業に支障を及ぼす形質の変更を起業地に対して行ってはならないと規定されています。
つまり、土地収用法第20条の規定に基づく事業の認可があった後においては、都道府県知事の許可を受けなければ、起業地内において、明らかに事業に支障を及ぼすような形質の変更を行うことができないとするということを、売買対象不動産がこの土地収用法の起業地に該当すれば、説明する必要があるということになります。
五十 土地収用法第二十八条の三第一項(同法第百三十八条第一項において準用する場合を含む。)
宅地建物取引業法施行令第3条50号
(土地の保全)
土地収用法第28条の3 第1項
第二十八条の三 第二十六条第一項の規定による事業の認定の告示があつた後においては、何人も、都道府県知事の許可を受けなければ、起業地について明らかに事業に支障を及ぼすような形質の変更をしてはならない。
(事業の認定の告示)
土地収用法第26条第1項
第二十六条 国土交通大臣又は都道府県知事は、第二十条の規定によつて事業の認定をしたときは、遅滞なく、その旨を起業者に文書で通知するとともに、起業者の名称、事業の種類、起業地、事業の認定をした理由及び次条の規定による図面の縦覧場所を国土交通大臣にあつては官報で、都道府県知事にあつては都道府県知事が定める方法で告示しなければならない。
(事業の認定の要件)
土地収用法第20条第1項
第二十条 国土交通大臣又は都道府県知事は、申請に係る事業が左の各号のすべてに該当するときは、事業の認定をすることができる。
一 事業が第三条各号の一に掲げるものに関するものであること。
二 起業者が当該事業を遂行する充分な意思と能力を有する者であること。
三 事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること。
四 土地を収用し、又は使用する公益上の必要があるものであること。
まとめ
・土地収用法は、公共の利益になる事業に必要な土地の収用または使用に関する法律であり、土地の適正利用と私有財産の調整を目的としています。
・土地収用法は、公共の利益になる事業に必要な土地の収用または使用に関する法律であり、土地の適正利用と私有財産の調整を目的としています。
・土地収用法における紛争解決は、あっせん、仲裁、協議の確認、和解といった手続きを通じて、公共の利益と私有財産の調整を図ります。
・不動産取引における重要事項説明では、土地収用法第28条の3に基づき、事業認定後には都道府県知事の許可なしに起業地の形質を変更してはならないと説明されます。また、事業の認定と告示、事業の認定要件も重要な説明点です。
以上、土地収用法についてまとめてみました。
他にも不動産取引に関する記事を書いていますのでご参考ください。