高度利用地区とは何?わかりやすく解説してみました。

不動産知識

 こんばんわ。
 コマドリです。

 不動産を購入しようとしたときに、売買契約の前に、不動産の重要事項説明というものがあります。

 その重要事項説明の際に、下記内容の説明があります。


都市計画法・建築基準法に基づく制限の概要
地区・街区等特別用途地区
特別用途制限地域
□特別用途地区(                      )
□特別用途制限地域
その他の地域地区等□高層住居誘導地区 □高度地区(種類:   )☑高度利用地区
□防火地域 ☑準防火地域 □特定防災街区整備地区 □風致地区
□( 建築基準法第22条地域 )
上記表は一例です。

 専門用語ばかりで聞いたことがないかと思いますが、この記事では上記の中から、
「高度利用地区」について書いていこうと思います。

 言葉のとおり、高い建物に対して何か規制の在りそうな地域に感じますよね?

 似たような言葉で「高度地区」については別の記事で書くこととしますが、その高度地区との比較と、条文も交えながら少しでも理解が深まるように記事を書きました。

 ぜひご覧ください。

高度利用地区とは何?

 高度利用地区は、都市計画法第九条第19項において定められている「地域地区」の一つで、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図るために設定されています。

 かみ砕いていうと、高度利用地区は、低層の建物が多く、土地が細分化されている密集市街地で、土地を統合して一体的な再開発を行い、高層ビルなどの高い建物を建てることができる地域です。

19 高度利用地区は、用途地域内の市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、建築物の容積率の最高限度及び最低限度、建築物の建蔽率の最高限度、建築物の建築面積の最低限度並びに壁面の位置の制限を定める地区とする。

都市計画法第九条第19項

高度利用地区の制限内容

 具体的には、以下の規制が適用されます。

  1. 容積率の制限:建物の容積率の最高限度及び最低限度が定められています。
  2. 建蔽率の制限:建物の建蔽率の最高限度が設定されています。
  3. 建築面積の制限:建物の建築面積の最低限度が規定されています。
  4. 壁面の位置の制限:壁面の位置についても都市計画において定められた制限があります。

 高度利用地区は、土地の有効活用や都市機能の向上を目指して設定されており、建築物の規模や配置に関する規制が進められています。

 また、これらは後述する建築基準法59条にも記載があり、高度利用地区と指定された地域では、定められた内容に適合する建築物を建てるようにとあります。

建築基準法上の高度利用地区の内容について

 建築基準法第59条にも高度利用地区についての条文の記載があります。

 要約すると、都市計画法を根拠に高度利用地区を指定されたエリアでは、その定められた高度利用地区としての制限に適合する建物を建築することとするということで、改めて建築基準法でも記載がされています。
 但し、第1項1号、2号、3号に定める小さな建築物の場合は適用されないとしていたり、4項のように、空き地に隣接し特別に認められた建築物にも適用されないともされています。

第五十九条 高度利用地区内においては、建築物の容積率及び建蔽率並びに建築物の建築面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、それぞれの建築面積)は、高度利用地区に関する都市計画において定められた内容に適合するものでなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物については、この限りでない。

 主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であつて、階数が二以下で、かつ、地階を有しない建築物で、容易に移転し、又は除却することができるもの

 公衆便所、巡査派出所その他これらに類する建築物で、公益上必要なもの

 学校、駅舎、卸売市場その他これらに類する公益上必要な建築物で、特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したもの

 高度利用地区内においては、建築物の壁又はこれに代わる柱は、建築物の地盤面下の部分及び国土交通大臣が指定する歩廊の柱その他これに類するものを除き、高度利用地区に関する都市計画において定められた壁面の位置の制限に反して建築してはならない。ただし、前項各号の一に該当する建築物については、この限りでない。

 高度利用地区内の建築物については、当該高度利用地区に関する都市計画において定められた建築物の容積率の最高限度を第五十二条第一項各号に掲げる数値とみなして、同条の規定を適用する。

 高度利用地区内においては、敷地内に道路に接して有効な空地が確保されていること等により、特定行政庁が、交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可した建築物については、第五十六条第一項第一号及び第二項から第四項までの規定は、適用しない。

 第四十四条第二項の規定は、第一項第三号又は前項の規定による許可をする場合に準用する。

建築基準法第59条

高度利用地区が指定されているエリア

 高度利用地区は、日本全国に多数指定されており、特に大都市の中心部や、再開発が進む地域に多く見られます。
 例えば、東京都の新宿や渋谷、大阪府の梅田などの都心部が高度利用地区に指定されています。これらの地区では、土地の有効活用と都市機能の更新を目的として、建築物の容積率や建ぺい率などに特別な規制が設けられています。
 具体的な指定場所や制限内容は、各自治体によって異なるため、詳細は地方自治体の都市計画部門で確認することができます。

高度利用地区の全国の指定状況

 高度利用地区は、全国で285都市で指定されており、その指定面積は、2,053.30haにもなります。(令和4年の都市計画現況調査より数字抜粋)

 ただ、比較がないとわかりづらいと思いますので、高度地区の数字もお伝えすると、

 高度地区は、全国で223都市で指定されており、その指定面積は、427,168.30haになります。

 こういうことから、高度利用地区は、全国的にも限定的な指定地域になりそうですね。

高度利用地区と高度地区の違い

 言葉にすると、
 高度利用地区は、容積率や建ぺい率の制限を定めるもので、
 高度地区は、高さの制限を定めるものということになります。

高度地区高度利用地区
制限内容の違い高さの最高限度
高さの最低限度
容積率の最高限度
容積率の最低限度
建ぺい率の最高限度
敷地面積の最低限度

まとめ

・高度利用地区は、都市計画法によって定められた地域で、密集した市街地の土地を一体化し、高層建築などの大規模な再開発を可能にするための規制を設けています。

・これには、建物の大きさや配置に関する具体的な規制(容積率、建蔽率、建築面積、壁面の位置)が含まれており、土地の効率的な利用と都市機能の向上を目指しています。

・高度利用地区は、日本の285都市、特に大都市の中心部に2,053.30haで指定され、土地の有効活用と都市機能の更新を目的とした建築規制があり、高度地区は223都市に427,168.30haで指定されており、全国的には限定的な地域です。

・高度利用地区は容積率や建ぺい率の制限を定め、高度地区は高さの制限を定める地域です。

以上、高度地区についてまとめてみました。

そのほかにも、
 ・高層住居誘導地区
 ・高度地区
 ・防火地域
 ・準防火地域
 ・特定防災街区整備地区
 ・風致地区
 ・建築基準法第22条地域
 についても解説していますのでご覧ください。

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