こんばんわ。
コマドリです。
不動産を購入しようとしたときに、売買契約の前に、不動産の重要事項説明というものがあります。
その重要事項説明の際に、下記内容の説明があります。
都市計画区域 | 区域区分 | 内 | □市街化区域 □市街化調整区域 □線引きされていない区域(市街化区域、市街化調整区域に区分されていない) |
外 | □準都市計画区域 □都市計画区域・準都市計画区域外 |
本来であれば、さらっと説明される部分だと思いますが、こちらについてまとめて解説してみたいと思います。
専門用語ばかりで聞いたことがないかとは思いますが、特にこの中から、
「市街化区域」「市街化調整区域」「線引きされていない区域(非線引き区域)」
について書いていきたいと思います。
ぜひご覧ください。
都市計画法とは
まず、都市計画区域とは、都市の健全な発展と秩序ある整備を図るために、都道府県が指定した区域のことです。
この区域は、市町村の中心市街地を含み、総合的に整備、開発、保全する必要があると判断された場所のことを指します。
都市計画のことについては別記事で書いていますのでそちらご覧ください。
(目的)
都市計画法第1条、第2条
第一条 この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
(都市計画の基本理念)
第二条 都市計画は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保すべきこと並びにこのためには適正な制限のもとに土地の合理的な利用が図られるべきことを基本理念として定めるものとする。
都市計画区域と市街化区域、市街化調整区域、非線引き区域の地域関係について
下記のように、それぞれの区域を位置関係で図にすると概ねこのような形になります。
なお、「非線引き区域」というのは法律上の正式名称は、「区域区分が定められていない都市計画区域」となります。
線引き区域と非線引き区域の違いは?
- 線引き区域:
- 線引き区域は、市街化区域と市街化調整区域の合計です。
- 市街化区域は、すでに市街地を形成しているエリアまたは将来的に市街化を図る予定のエリアです。
- 市街化調整区域は、現時点で建物がほとんどなく、農地や森林が多いエリアです。
- 非線引き区域:
- 非線引き区域は、都市計画区域内でも区分しないエリアを指します。
- つまり、市街化区域と市街化調整区域以外の区域です。
- 非線引き区域は、将来的に計画的な街づくりを進める予定のない場所が多い特徴があります。
以上が、線引き区域と非線引き区域の違いです。
市街化区域とは?(都市計画法第7条)
市街化区域は、都市計画法によって指定された地域で、既に市街地を形成しているか、または10年以内に市街化を計画的に図るべき地域を指します。
基本的に、都市部の中心街から郊外に出るか出ないか、くらいのところまでが市街化区域であることが多いです。
具体的な特徴は以下の通りです。
- 既に市街地を形成している地域:
- 一般住宅の建築が可能。
- 商業施設や公共施設も設置できる。
- 10年以内に市街化を計画的に図るべき地域:
- まだ市街地として形成されていないが、将来的に市街化を進めるべき地域。
- 一般住宅の建築は原則的にできないが、例外的に一部の場合には建築が可能。
2 市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とする。
都市計画法第7条2項
市街化区域と市街化調整区域の違い
- 市街化区域:
- 既に市街地を形成しているか、または10年以内に市街化を計画的に図るべき地域。
- 一般住宅や店舗等の建築が可能。
- 市街化調整区域:
- 市街化を抑制すべき地域。
- 一般住宅の建築は原則的にできない。
- 例外的に一部の場合には建築が可能。
市街化調整区域(都市計画法第7条)
市街化調整区域とは?
市街化調整区域は、都市計画法によって定められた、市街化を抑制すべき地域です。
この区域では、自然環境の保護や農業地帯の維持が重視され、無秩序な開発を防ぐために建築に関する厳しい制限が設けられています。
3 市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする
都市計画法第7条第3項
市街化調整区域の特徴
市街化調整区域は、自然環境を残して市街化を抑制することが優先されている地域です。
そのため開発許可が下りず、建築制限がかかることが多いのが一般的です。
場合によっては、自治体次第でこの建築許可基準等の規制緩和を受ける地域もあります。
基本的に都市の中心部から外れた郊外に多く、周りが田んぼや畑などが多ければ、市街化調整区域であることが多いです。
非線引区域(区域区分が定められていない都市計画区域)
非線引き区域は、都市計画区域内で、前述の「市街化区域」と「市街化調整区域」のどちらにも該当しない地域です。
※法律上では、「区域区分が定められていない都市計画区域」と言います。
特徴としては、市街化区域のように用途地域を定めることができたり、市街化調整区域ほど開発規制が厳しい区域ではありません。
つまり、非線引き区域とは、市街化区域にも市街化調整区域にも該当しない区域区分を指定していない区域のこととなります。
非線引き区域のメリット
- 制限が緩い:
- 非線引き区域は、市街化区域や市街化調整区域に比べて建築物についての制限が緩いです。
- 土地購入後にどのような用途にも利用できるケースが多く、自由度が高い点で人気があります。
- 用途地域の柔軟性:
- 非線引き区域では特定の用途地域を定める必要はありません。
- ただし、自治体独自の判断により非線引き区域でも用途地域を定めることが可能です。
- 土地購入後の自由度:
- 用途地域に制限がない場合、土地の使い方について幅広い選択肢があります。
- 住宅、商業施設、農地など、さまざまな用途に利用できます。
非線引き区域のデメリット
- 周辺環境の変化:
- 建築に関する制限が緩いため、周辺環境が予期せぬ形で変化する可能性があります。
- 将来的にも現在の環境が続くとは限らず、思わぬトラブルが発生することも考えられます。
- 買い手の見つけにくさ:
- 非線引き区域は人口密度がまばらなことが多く、土地の売却時に買い手を見つけにくい場合があります。
- インフラの未整備:
- 電気や上下水道、道路などの都市施設が整備されていないことが多いです。
- 住居などを建てる際には、ライフラインを自分で整備する必要がある場合があります。
- 迷惑施設の建設リスク:
- 制限が緩いため、迷惑施設が建設されるリスクがあります。
- 市街化調整区域や市街化区域では問題にならないような施設が建つ可能性があります。
- 開発の不確実性:
- 非線引き区域は将来的に市街化区域や市街化調整区域に変更される可能性があります。
- このような変更が行われると、土地の利用や価値に大きな影響を及ぼす可能性があります。
それぞれの区域の指定面積、人口について
都市計画区域全体
面積:10,284,248ha
人口:118,986千人
市街化区域(線引き区域)
面積:1,453,520ha(全体の14%)
人口:89,136千人(全体の74%)
市街化調整区域(線引き区域)
面積:3,760,782ha(全体の36.5%)
人口:10,106千人(全体の8.4%)
非線引き区域
面積:5,069,946ha(全体の49.2%)
人口:19,744千人(全体の16.5%)
以上のように、人口の大半は「市街化区域」に住んでいることがわかりますが、面積で見るとかなりの狭い面積に人口が集中していることがわかります。
そのうえで、「非線引き区域」には、2千万近くの住民が住んでいることからも都市計画上も、市街化調整区域のように、土地利用のコントロールは考えていく必要があるべき区域といえます。
市街化区域ではさらに用途地域に区分がされます。
用途地域とは、基本的に市街化区域内の土地の用途を定めたもので、大きく住居系、商業系、工業系の合計13種類の区域に分かれています。
住居系 | 第1種低層住居専用地域 第2種低層住居専用地域 第1種中高層住居専用地域 第2種中高層住居専用地域 第1種住居地域 第2種住居地域 準住居地域 田園住居地域 |
商業系 | 近隣商業地域 商業地域 |
工業系 | 準工業地域 工業地域 工業専用地域 |
まとめ
・都市計画区域内の線引き区域は市街化区域と市街化調整区域を含み、市街地形成や農林地保護の計画があるのに対し、非線引き区域はこれらの区分がなく、将来的な街づくりの計画をテコ入れしたい場合に指定されることが多いです。
・市街化区域は都市計画法に基づき、既に市街地を形成しているか、または近い将来に市街化を計画的に進めるべき地域であり、一般住宅や商業施設の建築が可能なのに対し、市街化調整区域は市街化を抑制するための地域で、建築が原則として制限されています。
・非線引き区域は、都市計画区域内で市街化区域や市街化調整区域に該当しない地域で、建築制限が緩く用途の自由度が高いが、周辺環境の不確実性やインフラ整備の必要性、迷惑施設のリスク、開発の不確実性などのデメリットも存在します。
・都市計画区域全体の約14%を占める市街化区域には人口の約74%が集中しており、最も広い面積を占める非線引き区域には約16.5%の人口が住んでいることから、土地利用の計画と管理が重要であることが示されています。
以上の通り、市街化区域、市街化調整区域、非線引き区域についてまとめてみました。
他にも用途地域のことについても記事を書いていますのでぜひご覧ください。
併せて確認すると、都市計画のことについての理解が深まるかと思います。
第1種低層住居専用地域
第2種低層住居専用地域
第1種中高層住居専用地域
第2種中高層住居専用地域
第1種住居地域
第2種住居地域
準住居地域
田園住居地域
近隣商業地域
商業地域
準工業地域
工業地域
工業専用地域