おはようございます。
コマドリです。
不動産を購入するときにある重要事項説明書の中に、以下のような高さ制限についての説明欄があります。
建築物の高さの制限 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
道路斜線制限 有 無 | 隣地斜線制限 有 無 | 北側斜線制限 有 無 | 日影規制 有 無 | ||||
絶対高さ制限 有 無 |
この高さ制限は、その土地に建てられる建物の高さの上限を制限するもので、中古住宅を購入するだけではあまり気にならない部分になろうかとおもいます。
ただ、この高さ制限は再建築するときなど建物を建てるときには大事になってくる制限になりますので、知っておくといいと思います。
もし知っていれば、どうして高い建物がこのあたりには少ないのだろう?ということも納得がいくと思います。
今回はその高さ制限の中でも、「絶対高さ制限」について解説します。
絶対高さ制限の定義
- 建築物の高さが地面からの絶対的な数値で制限される規制。
- 都市計画や景観保護のために設けられる法的な制限。
- 地域の安全性、環境、歴史的価値を考慮した高さの上限を定める。
絶対高さ制限の目的
- 日照権、プライバシー、風通し等の住環境を保護する目的がある。
- 地域によって高さの基準が異なり、地域特性に合わせた制限が設定される。
- 特定の条件下で例外規定が設けられることがあり、柔軟な対応が可能。
絶対高さ制限の根拠法令と適用地域
絶対高さ制限に関する根拠法令は、建築基準法第55条です。
- 第1種低層住居専用地域
- 第2種低層住居専用地域
- 田園住居地域
第五十五条 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内においては、建築物の高さは、十メートル又は十二メートルのうち当該地域に関する都市計画において定められた建築物の高さの限度を超えてはならない。
建築基準法第55条第1項条文
絶対高さ制限の内容
上記適用用途地域において、建築物の最高高さを10メートルまたは12メートル以内に抑える必要があり、定められた建築物の高さの限度を超えてはならないとされています。
絶対高さ制限の緩和
絶対高さ制限については緩和される規定がいくつか存在します。今回はその緩和規定についてどんなものがあるかを簡単に記載します。
特定行政庁の許可による緩和
第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域、田園住居地域での建築物の高さは通常10メートルに制限されていますが、政令で定められた空地を持ち、一定の敷地面積を超える建物は、住居環境を損なわないと認められれば、高さ12メートルまで許可されることがあります。この規定は、良好な住居環境を保ちながら、建築の柔軟性を提供するために設けられています。
2 前項の都市計画において建築物の高さの限度が十メートルと定められた第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域内においては、その敷地内に政令で定める空地を有し、かつ、その敷地面積が政令で定める規模以上である建築物であつて、特定行政庁が低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めるものの高さの限度は、同項の規定にかかわらず、十二メートルとする。
建築基準法第55条第2項条文
再生可能エネルギー源の利用
再生可能エネルギー設備の設置に伴う建築物の高さ制限は、特定条件下で緩和されることがあります。
太陽光パネルや風力タービンなどの設備が構造上必要な場合、住居環境を害さないと判断されれば、法的な高さ制限を超えて設置が許可されます。
この特例は、環境保護と住居環境のバランスを取るために設けられています。
3 再生可能エネルギー源(太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものをいう。第五十八条第二項において同じ。)の利用に資する設備の設置のため必要な屋根に関する工事その他の屋外に面する建築物の部分に関する工事を行う建築物で構造上やむを得ないものとして国土交通省令で定めるものであつて、特定行政庁が低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めて許可したものの高さは、前二項の規定にかかわらず、その許可の範囲内において、これらの規定による限度を超えるものとすることができる。
建築基準法第55条第3項
学校などの建築物
建築物の高さに関する規定は、公園や広場などの広い空地を持ち、良好な住居環境を保つことができる建物や、学校など特定の用途で必要とされる建物には適用されません。
これらの建物は、特定行政庁の許可を得て、通常の高さ制限を超えることが可能です。
この例外は、都市の機能と住居環境の調和を図るために設けられています。
4 第一項及び第二項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。
建築基準法第55条第4項条文
一 その敷地の周囲に広い公園、広場、道路その他の空地を有する建築物であつて、低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めて特定行政庁が許可したもの
二 学校その他の建築物であつて、その用途によつてやむを得ないと認めて特定行政庁が許可したもの
絶対高さ制限はどこで確認できるの?
確実なところでいくと、各自治体に電話確認です。絶対高さ制限について理解している部署は、「都市計画課」に確認するとすぐに教えてくれます。
(※各自治体で担当部署が違う可能性ありますのでよくご確認ください。)
ただ、最近であればネットで確認が取れたりしますが、「{各自治体名} 都市計画」で検索ヒットするとは思います。
各自治体ごとに記載をしているところ、ネット上に公開がないところもあるため、もし見つけられないようであれば、電話確認が一番早いです。
まとめ
・絶対高さ制限は、建築物の高さを地面からの絶対的な数値で制限する法的規制であり、都市計画や景観保護を目的としており、地域の安全性、環境、歴史的価値を考慮して高さの上限が定められています。
・絶対高さ制限は、住環境を保護し、地域特性に応じた建築基準を設け、法律違反には罰則がありながらも、特定条件での例外が認められる制度です。
・建築基準法第55条により、第1種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域、田園住居地域では、建築物の高さは10メートルまたは12メートル以内に制限されています。
・一定の条件を満たす建築物は、通常の制限を超えても良いとされており、これには再生可能エネルギー設備の設置や特定の用途が必要な建物が含まれ、公園や広場などの空地を有する建物は例外として高さ制限が適用されないことがあります。
今回は、5つの高さ制限のうちのひとつ「絶対高さ制限」について解説しました。
以下の記事では、それ以外の4種の高さ制限について解説していますので、こちらの記事もぜひ併せて読んでみてください。
道路斜線制限
隣地斜線制限
北側斜線制限
日影規制
以下、このブログの人気記事なども読んでいってください。