おはようございます。
コマドリです。
不動産を購入しようとしたときに、売買契約の前に、不動産の重要事項説明というものがあります。
その重要事項説明の際に、下記内容の説明があります。
都市計画法・建築基準法に基づく制限の概要 | |||
---|---|---|---|
④ | 地区・街区等 | 特別用途地区 特別用途制限地域 | □特別用途地区( ) □特別用途制限地域 |
その他の地域地区等 | □高層住居誘導地区 □高度地区(種類: )□高度利用地区 ☑防火地域 □準防火地域 □特定防災街区整備地区 □風致地区 □( 建築基準法第22条地域 ) |
専門用語ばかりで聞いたことがないかと思いますが、この記事では上記の中から、
「防火地域」について書いていこうと思います。
言葉のとおり、防火に対して何か規制の在りそうな地域に感じますよね?
ただ、準防火地域と何が違うの?と感じるとも思います。
準防火地域も掘り下げて別の記事で書くこととしますが、その準防火地域との比較と、条文も交えながら少しでも理解が深まるように記事を書きました。
ぜひご覧ください。
防火地域とは何か?
防火地域の定義
特定の地域において火災の発生を予防し、万が一発生した場合にその拡大を防止するために設けられた区域。
都市計画法に基づいて指定され、火災リスクが高いとされる密集地域や商業地域などが対象となる。
防火地域の目的
火災から住民と建物を守ることが目的です。
火事の被害を少なくし、避難経路を確保し、消防活動を効率的に行うことを目指します。
建物に耐火性能を高める厳しい基準を適用して、安全な地域を作ります。
防火地域の根拠法令
防火地域に関する根拠法令は、都市計画法と建築基準法にあります。
- 都市計画法第9条第21項
市街地における火災の危険を防除するために定められた地域として防火地域が設定されています。 - 建築基準法第61条第1項、第2項
防火地域または準防火地域内の建築物に関する規制が定められており、外壁の開口部に防火設備を設けるなどの技術的基準が規定されています。
21 防火地域又は準防火地域は、市街地における火災の危険を防除するため定める地域とする。
都市計画法第9条第21項
(防火地域及び準防火地域内の建築物)
建築基準法第61条
第六十一条 防火地域又は準防火地域内にある建築物は、その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸その他の政令で定める防火設備を設け、かつ、壁、柱、床その他の建築物の部分及び当該防火設備を通常の火災による周囲への延焼を防止するためにこれらに必要とされる性能に関して防火地域及び準防火地域の別並びに建築物の規模に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。ただし、門又は塀で、高さ2m以下のもの又は準防火地域内にある建築物(木造建築物等を除く。)に附属するものについては、この限りでない。
2 前項に規定する基準の適用上一の建築物であつても別の建築物とみなすことができる部分として政令で定める部分が2以上ある建築物の当該建築物の部分は、同項の規定の適用については、それぞれ別の建築物とみなす。
防火地域はどのような場所に指定されるのか?
防火地域
都市の中核地区や主要な交通路(幹線道路)に沿ったエリアといった場所。
※商店街は防火地域であることが多いです。
もし、不動産購入検討している土地がこの防火地域に指定されている場合、防火地域に適用するための建築部材を使用する必要があるため、建築基準法第22条地域で建物を建てるより建築費が上がってしまいます。これは準防火地域でも同じことがいえます。
準防火地域
防火地域に隣接する、家屋がひしめき合う住宅地域のことで、防火地域の外側にあることが多いです。
防火地域同様、防火に適した建築部材を使用する必要があるため、建築費が建築基準法第22条地域で建物を建てるより建築費が上がってしまいます。
建築基準法22条地域
防火地域や準防火地域の外側に位置し、木造の家屋が密集しているエリア。
この地域では、火災の危険性がさらに低いため、建築のルールもさらに緩やかです。
防火地域 > 準防火地域 > 建築基準法第22条地域
の左から右の順で規制が緩くなります。
防火地域の制限内容
防火地域で建てることのできる建築物には制限があります。
その制限を表にまとめてみました。
防火地域で建てることのできる建築物の制限
\延床面積 階数(地階含む)\ | 100㎡以下の場合 | 100㎡超えの場合 |
3階以上 | 耐火建築物に限る。 | 耐火建築物に限る。 |
2階以下 | ・耐火建築物 ・準耐火建築物 | 耐火建築物に限る。 |
防火地域での緩和措置
防火地域では何でもかんでも規制がかかるわけではありません。
防火地域内での建築に関する緩和措置には、以下のようなものがあります。
建ぺい率の緩和
この建ぺい率の緩和は、延焼防止性能の高い建築物への建て替え等を促進するための措置です。
もともとは防火地域のみの緩和でしたが、平成31年(令和元年)6月施工の建築基準法の一部改正により、準防火地域でも緩和が認められるようになりました。
簡単に表にまとめてみました。
下記表の防火地域、準防火地域でそれぞれ該当する建物は、建蔽率が10%緩和されます。
耐火建築物 | 準耐火建築物 | |
防火地域 | ・耐火建築物 ・耐火建築物と同等以上の延焼防止性能を有する構築物 | |
準防火地域 | ・耐火建築物 ・準耐火建築物 ・これらと同等以上の延焼防止性能を有する構築物 |
防火地域内であっても規制が免除される建物
防火地域内でも、以下のような建築物は特別な規制から免除される緩和措置があります。
50㎡以下の平屋建ての付属建築物
外壁や軒裏が防火構造である必要があります。
門や塀
高さが2m以下、または2mを超えても延焼防止に問題がない構造の場合は規制されません。
(改正前と改正後の違い)
平成31年(令和元年)6月25日の建築基準法改正前は、門や塀については不燃材料で作るか覆うことのみが認められていました。
ただ改正後は、土塗り壁(厚さ30mm以上)や、厚さ24mm以上の木材で作られた門や塀も許可されるようになりました。
まとめ
・防火地域の設定
都市計画法に基づき、火災リスクが高い市街地や商業地域に指定されます。
・目的
住民と建物を火災から守り、安全な避難経路と効率的な消防活動を確保すること。
・建築規制
建築基準法により、耐火性能を備えた建築物の建設が義務付けられています。
・緩和措置
延焼防止性能が高い建築物には建ぺい率の規制が緩和されます。
・特例
一定の小規模建築物や防火構造を有する門や塀は規制から免除されることがあります。
以上、防火地域についてまとめてみました。
そのほかにも、
・高層住居誘導地区
・高度地区
・高度利用地区
・準防火地域
・特定防災街区整備地区
・風致地区
・建築基準法第22条地域
についても解説していますのでご覧ください。