高度地区についてわかりやすくまとめてみました。

不動産知識

 こんばんわ。
 コマドリです。

 不動産を購入しようとしたときに、売買契約の前に、不動産の重要事項説明というものがあります。

 その重要事項説明の際に、下記内容の説明があります。


都市計画法・建築基準法に基づく制限の概要
地区・街区等特別用途地区
特別用途制限地域
□特別用途地区(                      )
□特別用途制限地域
その他の地域地区等□高層住居誘導地区 ☑高度地区(種類:   )□高度利用地区
□防火地域 ☑準防火地域 □特定防災街区整備地区 □風致地区
□( 建築基準法第22条地域 )
上記表は一例です。

 専門用語ばかりで聞いたことがないかと思いますが、この記事では上記の中から、
「高度地区」について書いていこうと思います。

 言葉のとおり、高い建物に対して何か規制の在りそうな地域に感じますよね?

 高度利用地区については別の記事で書くこととしますが、その高度利用地区との比較と、条文も交えながら少しでも理解が深まるように記事を書きました。

 ぜひご覧ください。

高度地区とは何か?

高度地区の定義

 高度地区は、都市計画法によって定められた地区で、建築物の高さの最高限度または最低限度を定めるものです。

高度地区の目的

 主な目的は、市街地の環境を維持するか、土地利用を増進するために制限を設けることです。

 景観保護: 高度地区は、美しい景観や歴史的な建造物を保護するために設定されることがあります。
 建物の高さや外観が周囲の景観に調和するように制限されます。

 環境への配慮: 高度地区は、環境への影響を最小限に抑えるために設定されることがあります。
 例えば、エネルギー効率の高い建物の建設を促進したり、緑地帯を確保したりすることがあります。

 都市計画と整備: 高度地区は、都市の発展を計画的に進めるために設定されることがあります。
 建物の高さや用途を調整することで、都市のバランスを保ちながら発展を促進します。

 安全確保: 高度地区は、災害時の避難経路や建物の耐震性を考慮して設定されることがあります。
 安全な都市環境を維持するために重要です。

高度地区の根拠法令

 高度地区に関する法令は、都市計画法建築基準法に基づいて定められています。

  • 都市計画法 第9条の18項: 用途地域内において市街地の環境を維持し、または土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度または最低限度を定める地区とする。
  • 建築基準法 第58条: 高度地区内においては、建築物の高さは、高度地区に関する都市計画において定められた内容に適合するものでなければならない。

18 高度地区は、用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区とする。

都市計画法第9条第18項

第五十八条 高度地区内においては、建築物の高さは、高度地区に関する都市計画において定められた内容に適合するものでなければならない。
  前項の都市計画において建築物の高さの最高限度が定められた高度地区内においては、再生可能エネルギー源の利用に資する設備の設置のため必要な屋根に関する工事その他の屋外に面する建築物の部分に関する工事を行う建築物で構造上やむを得ないものとして国土交通省令で定めるものであつて、特定行政庁が市街地の環境を害するおそれがないと認めて許可したものの高さは、同項の規定にかかわらず、その許可の範囲内において、当該最高限度を超えるものとすることができる。
  第四十四条第二項の規定は、前項の規定による許可をする場合について準用する。

建築基準法第58条第1項、第2項、第3項

高度地区が指定されているエリアの一例

  1. 兵庫県尼崎市: 尼崎市では、第5種高度地区まで定められており、それぞれに高さの制限が決まっています。
  2. 神戸市: 神戸市では、第8種地区まで存在し、各地区ごとに建物の高さに関する制限が設けられています。
  3. 西宮市: 西宮市では、第10種高度地区まで存在します。
  4. 大阪市: 大阪市でも高度地区が指定されており、20mの最低限度を定めているエリアがあります。ただし、これは主要なターミナル駅周辺や幹線通り沿いなど、限られたエリアに適用されています。
  5. 東京都: 東京都でも各区ごとに高度地区が設定されており、建物の高さに制限があります。
  6. 名古屋市
  7. 札幌市
  8. 福岡市
  9. 仙台市
  10. 京都市

高度地区の制限内容

 高度地区の高さ制限は、自治体ごとに基準が異なるため、全国共通の規制はありません。
 自治体ごとに基準を調べる必要があります。

 ただ、多くの自治体で、高度地区にもとづく斜線制限は、北側の隣地の日照を確保するために設けられた規制や、隣地からの斜線を制限する規制が設けられています。

 この高度地区に基づく北側斜線制限や隣地斜線制限と、別記事にある北側斜線制限や隣地斜線制限とは別の規制となることをご注意ください。

参考規制例

 以下は東京都での例を示します。

高度地区の緩和措置

 この高度地区の緩和措置も、自治体によって基準が異なってきます。

 よく見かける緩和措置としては、
 ・北側に水面や線路敷が隣接する敷地の場合
 ・敷地の地盤面が隣地よりも1m以上低い場合
 の2点があります。

まとめ

・高度地区は、都市の美観を保ち、効率的な土地利用を促進するために建物の高さに制限を設ける地区です。

・これにより、景観の保護、環境配慮、都市計画の整備、および災害時の安全確保が図られます。
 高度地区は、市街地の環境を保ち、土地利用を促進するために建物の高さに制限を設ける地区です。

・自治体によって高さ制限の基準が異なり、北側斜線制限などの規制を含むことがあります。

・また、特定の条件下での緩和措置が設けられており、具体的な規制や緩和内容は各市役所のウェブサイトで確認できます。

以上、高度地区についてまとめてみました。

そのほかにも、
 ・高層住居誘導地区
 ・高度利用地区
 ・防火地域
 ・準防火地域
 ・特定防災街区整備地区
 ・風致地区
 ・建築基準法第22条地域
 についても解説していますのでご覧ください。

タイトルとURLをコピーしました