第1種(第2種)低層住居専用地域についてまとめてみた。不動産購入前にこれを確認して!

不動産知識

不動産を購入しようとして、いろんな言葉を目にすると思います。
それで物件を探していると以下のような文言を見かけると思います。

用途地域一種(二種)低層住居
※SUUMO等のポータルサイトの物件情報記載欄に大体記載があります。

この低層住居地域とは、文字通り、静かで住みやすい環境を保つために設けられており、主に住宅が建てられる地域となりますが、
ここでは、その低層住居専用地域というのは、家を購入する際に詳しくすることで、その地域柄やどんな建物が周りにあるのかなどを、不動産購入前に確認できれば、不動産会社の営業マンが話していることが少しでも理解できるように、具体的にまとめてみました。

第1種(第2種)低層住居専用地域の特徴

第一種低層住居専用地域(1低専)の特徴

  • 静穏性: 静かな住環境を重視し、騒音を発する施設の建設が制限されています。
  • 低層建築: 主に2~3階建ての住宅が建築され、開放的な空間が保たれます。
  • 緑豊かな環境: 庭園や公園が多く、自然との調和を大切にした地域づくりがされています。
  • 建築規制: 建ぺい率や容積率に厳しい規制があり、住宅の密集を防ぎます。

第二種低層住居専用地域(2低専)の特徴

  • 利便性と静穏性のバランス: 小規模な商業施設の建設が可能でありながら、住環境の良さも保持しています。
  • 建築の多様性: 住宅だけでなく、一定規模の店舗や事務所も建てられるため、生活利便性が高まります。
  • 環境保全: 緑地の確保や建築物の高さ制限により、良好な住環境が維持されます。
  • 地域コミュニティ: 地域内の施設が住民の交流の場となり、コミュニティ形成を促進します。

つまりどういうこと?

 以上の特徴から、メリット・デメリットをそれぞれ紹介します。

低層住居専用地域のメリット

静かで快適な住環境

  • 閑静な住宅街: 低層住居専用地域は、商業施設が制限されているため、住民以外の往来が少なく、静かな環境が保たれます。
  • 良好な日当たりと風通し: 建ぺい率が低く設定されているため、建物同士の間隔が広く、自然光と風の流れが確保されます。

環境の変化が少ない

  • 高さ制限: 建物の高さに厳しい制限があるため、突然の高層建築による景観の変化や日照権の侵害の心配がありません。

コミュニティの成熟

  • 地域コミュニティ: 住居専用地域では、住民同士の交流が盛んで、成熟したコミュニティが形成されやすい傾向にあります。

低層住居専用地域のデメリット

生活利便性の問題

  • 店舗の不在: スーパーやコンビニなどの商業施設が建設されにくいため、日常の買い物に不便を感じる可能性があります。
  • 医療施設のアクセス: 診療所規模の医療施設しか建てられないため、大きな病院へのアクセスが不便になることもあります。

土地や建築のコスト

  • 高い土地価格: 快適な住環境を求める人々が多いため、土地価格が高騰する傾向にあります。
  • 建築の制限: 高さ制限や建ぺい率などの規制により、建築の自由度が制限され、設計にコストがかかることがあります。

低層住居専用地域にはどんな制限があるの?

日本の都市計画法における用途地域の中で、1低専と2低専は、良好な住環境を保護するために設けられた地域です。
これらの地域では、建築物の高さや敷地利用に関する制限が定められており、低層の住宅地域の特性を維持することを目的としています。

また、低層住居専用地域に限らず、建物には高さ制限というものが定められています。
これは日照権やプライバシーを保護するために非常に重要なものです。
日本の都市計画法では、特に1低専と2低専において、以下のような高さ制限が設けられています。
では、建蔽率と容積率の話の後に記載します。

建ぺい率、容積率

1低専の場合

・建ぺい率が30%から60%
・容積率が50%から200%
と定められており、敷地を有効に活用しながらも開放感のある空間の確保が求められています。

2低専の場合

・建ぺい率は30%から60%
・容積率は50%から200%
となっており、数字は変わらずですが、
対照的に、小規模な商業施設や飲食店も設置可能(但し、床面積150㎡以内の制限あり)であり、便利な生活環境と良好な住環境が両立されています。

絶対高さ制限

1低専、2低専ともに10mまたは12m以下で制限があります。

絶対高さ制限は、建物の最大高さを直接制限するもので、これにより、主に1~3階建ての低層住宅が建築され、開放的な街並みが形成されます。

道路斜線制限

1低専、2低専ともに適用されます。

道路斜線制限は、建物が道路に面して建てられる際に道路から一定の距離を保ちながら建築することを要求するものです。
これにより、道路に面した建物が日照や通風を妨げないように配慮されます。

隣地斜線制限

1低専、2低専ともに適用されません。

隣地斜線制限は、隣接する土地の日照権を確保するために設けられています。
低層住居専用地域では、建物の高さがそもそも比較的低いため、この制限は適用されません。
より高い建物に対しては重要な規制となります。

北側斜線制限

1低専、2低専ともに適用されます。

北側斜線制限は、特に日照が少ない北側の境界線に対して設けられるもので、十分な日照を確保するために、建物の高さに制限を加える規制です。
これらの制限は、住宅地としての質を高め、快適な住環境を提供するために設計されています。

日景規制

1低専、2低専ともに適用されます。

日影規制は、建築物から生じる影が周囲の土地に一定時間以上かからないようにするための制限です。例えば、第一種低層住居専用地域では、軒の高さが7mを超える場合や、地階を除く階数が3以上の場合に規制が適用されます。

隣地境界からの外壁後退

1低専、2低専ともに適用されます。

外壁後退は、建築物の外壁または柱を敷地境界線から一定の距離離して建てることを義務付けるものです。一種低層住居専用地域などでは、外壁の後退距離は1mまたは1.5mと定められており、これにより採光や通風、防火機能の確保が期待されます。

建築制限

第一種低層住居専用地域では、学校や病院など生活の利便性に直結する建物を除き、ほぼすべての建物の建築が制限されます。
また、住居であっても建物の高さに厳しい規制があり、3階建ては建てることはできますが、現実的に2階建てを建てる家がほとんどです。

低層住居専用地域ではどんな建物が建てられるの?

低層住居専用地域で建てられる建物

  • 住宅・共同住宅:一戸建てやアパートメントなどの住宅が建築可能です。
  • 店舗兼住宅・事務所兼住宅:非住宅部分が一定規模以下であれば、住宅と併設された店舗や事務所が許可されます。
  • 幼稚園・小学校・中学校・高等学校:教育施設の建築が可能です。
  • 図書館:地域住民の利便性を考慮した公共施設が建てられます。
  • 神社・寺院・教会:宗教施設もこの地域に建てることができます。
  • 老人ホーム・身体障害者福祉ホーム・老人福祉センター:高齢者や障害者の福祉施設が建築可能です。
  • 公衆浴場:地域コミュニティの一環として、公衆浴場の建設が認められています。

低層住居専用地域で建てられない建物

  • 店舗:一般的な商業施設や店舗は建てられません。
    ※但し、2低専では、2階建てまでで、床面積150㎡以内の店舗や飲食店が建築可能です。
  • 事務所:オフィスや事務所の建築も禁止されています。
  • ホテル・旅館:宿泊施設の建築は許可されていません。
  • 遊戯施設・風俗施設:娯楽施設や風俗関連の施設も建てられないことが多いです。
  • 大学・高等専門学校・専修学校:教育施設の中でも、これらの施設は建築が制限されています。
  • 病院:医療施設の建築も制限の対象です。
  • 自動車教習所:運転免許を取得するための教習所も建てられません。
  • 倉庫業倉庫:物流倉庫などの建築も禁止されています。
  • 危険性や環境悪化が懸念される工場:環境に影響を与える可能性のある工場の建築は許可されていません。
  • 自動車修理工場:車の修理工場も建てられないことが多いです。
  • 火薬・石油類・ガスなどの危険物を貯蔵・処理する施設:これらの危険物を扱う施設の建築は制限されています。

まとめ

  • 建てられる建物の種類は限定的で、建築制限も厳しいエリアになります。
  • つまり、外壁後退制限によって、隣地建物が自身の家のすぐ横にくるようなことはないことからも、1低専、2低専エリアは、閑静な広々とした住宅地となる傾向にあり、不動産購入を考えるのであれば、このエリアの土地、建物を狙うのもよいです。
  • ただし、そのことから需要も増え、不動産会社も理解していることから、土地価格が高くなる傾向にもあります。
  • メリットも多いですが、デメリットもしっかり理解して、不動産購入検討を行ってください。

以上です。

また、今回説明した地域以外にも用途地域は11種類もあります。
それらについても説明していますので、ぜひ見ていってください。

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