敷地面積の最低限度についてわかりやすくまとめました。

不動産知識

こんばんわ。
コマドリです。

 不動産を購入するときにある重要事項説明書の中に、以下のような建築制限についての説明欄があります。

その他の建築制限□外壁後退距離制限(第1種、第2種低層住居専用地域又は田園住居地域に場合)
:1.5m以上or1m以上
□敷地面積の制限:最低限度〇〇〇㎡
上記表は一例です。

 この建築制限は、その土地に建てられる隣地境界線から外壁の位置を制限するもので、中古住宅を購入するだけではあまり気にならない部分になろうかとおもいます。

 ただ、この建築制限は再建築するときなど建物を建てるときには大事になってくる制限になりますので、後々のことを考えたら知っておくといいと思います。
 もし知っていれば、どうしてこの地域は建物が密集してないのだろう?ということも納得がいくと思います。

 今回はその建築制限の中でも、「敷地面積の最低限度」について解説します

 この規制は簡単にいうと、不動産会社が分譲地を開発しようとして、その売却益を上げようと土地を細切れにして区画を増やしたりすると、建物が密集しすぎて非常に住みにくくなるのがイメージできますでしょうか?
 そのような不動産会社等の街並みの乱開発を防ぐための規定で、建物を建てるためには最低限の敷地面積が必要であることを各自治体で定めることができるようになっています。

 この記事ではそれについて条文交えて詳しくご説明しますのでぜひ読んでいってください。

敷地面積の最低限度とは何か?

 敷地面積の最低限度とは、建築物を建てるための土地の最小面積を指します。

 これは、建築基準法や都市計画法によって定められており、地域や用途によって異なります。 

敷地面積の最低限度の目的

 住環境の質の向上
 十分な敷地面積を確保することで、日照、通風、プライバシーの保護が期待できます。

 災害時の安全確保
 火災や地震などの災害時に、建物間の適切な距離を保つことで、安全な避難経路や消防活動の確保につながります。

 都市計画の整備
 無秩序な開発を防ぎ、計画的な都市開発を促進するために設けられています。

敷地面積の最低限度の根拠法令

この規制は、建築基準法第53条の2に条文があります。

(建築物の敷地面積)
 第五十三条の二 建築物の敷地面積は、用途地域に関する都市計画において建築物の敷地面積の最低限度が定められたときは、当該最低限度以上でなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物の敷地については、この限りでない。
   前条第六項第一号に掲げる建築物(防火地域ないにある耐火建築物等)
   公衆便所、巡査派出所その他これらに類する建築物で公益上必要なもの
   その敷地の周囲に広い公園、広場、道路その他の空地を有する建築物であつて、特定行政庁が市街地の環境を害するおそれがないと認めて許可したもの
   特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したもの
 前項の都市計画において建築物の敷地面積の最低限度を定める場合においては、その最低限度は200㎡を超えてはならない。

建築基準法第53条の2

敷地面積の最低限度の適用地域

 この規制は、全用途地域内において、各自治体の都市計画によって定めることができます。

敷地面積の最低限度の規制内容

 敷地面積の最低限度を200㎡以下で定めます。
 ただし、既存の敷地については、特定の条件を満たす場合、この制限は適用されません。つまり、新しく建物を建てる場合は最低限の土地面積が必要ですが、既存の土地を有効活用する場合は、制限が緩和されることがあります。

 都市計画では、第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域の敷地面積の最低限度を定めていることが多く、自治体の多くは100㎡以上としています。
 これはつまり、199㎡の土地があって、これを2つ(100㎡と99㎡)に分筆すると、狭い方の99㎡には家を建てることができなくなるということです。

敷地面積の最低限度の適用除外

防火地域内の耐火建築物の適用除外

 建築基準法第53条の2によれば、建物の敷地面積は都市計画で定められた最低限度以上でなければならないが、防火地域内の耐火建築物など特定の条件を満たす建築物はこの規定の適用が除外されるとされています。

第五十三条の二 建築物の敷地面積は、用途地域に関する都市計画において建築物の敷地面積の最低限度が定められたときは、当該最低限度以上でなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物の敷地については、この限りでない。
  前条(53条)第6項第1号に掲げる建築物(下記引用文に記載)

建築基準法第53条の2 第1項第1号

第五十三条 

 前各項の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。
  防火地域(第一項第二号から第四号までの規定により建蔽率の限度が十分の八とされている地域に限る。)内にある耐火建築物等

建築基準法第53条 第6項第1号

特定の建築物に対する適用除外

 公衆便所や巡査派出所など公益上必要な建物にはこの規定は適用されません。

第五十三条の二 建築物の敷地面積は、用途地域に関する都市計画において建築物の敷地面積の最低限度が定められたときは、当該最低限度以上でなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物の敷地については、この限りでない。
  公衆便所、巡査派出所その他これらに類する建築物で公益上必要なもの

建築基準法第53条の2 第1項第2号

公園や広場等の空き地を有する建築物に対する適用除外

 広い公園や道路などの空地を持つ建築物で市街地の環境を害しないと特定行政庁が認めた場合は、この規定は適用されないとされています。

第五十三条の二 建築物の敷地面積は、用途地域に関する都市計画において建築物の敷地面積の最低限度が定められたときは、当該最低限度以上でなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物の敷地については、この限りでない。
  その敷地の周囲に広い公園、広場、道路その他の空地を有する建築物であつて、特定行政庁が市街地の環境を害するおそれがないと認めて許可したもの

建築基準法第53条の2 第1項第3号

特定行政庁が認めた建築物に対する適用除外

 特定行政庁が用途上または構造上やむを得ないと認めて許可した場合は、この規定の適用が除外されます。

第五十三条の二 建築物の敷地面積は、用途地域に関する都市計画において建築物の敷地面積の最低限度が定められたときは、当該最低限度以上でなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する建築物の敷地については、この限りでない。
  特定行政庁が用途上又は構造上やむを得ないと認めて許可したもの

建築基準法第53条の2 第1項第4号

まとめ

・敷地面積の最低限度とは、建築物を建てる際に必要な土地の最小面積であり、建築基準法や都市計画法によって地域や用途に応じて異なる基準で定められています。

・敷地面積の最低限度は、日照や通風の確保、災害時の安全、都市計画の整備を目的としています。

・建築基準法第53条の2に基づき、敷地面積の最低限度は自治体の都市計画で200㎡以下に定めることができます。ただし既存の敷地は特定の条件下でこの制限から緩和されることがありますが、分筆された敷地が最低限度未満の場合は建築が許可されないこともあります。

・敷地面積の最低限度は、防火地域内の耐火建築物、公益上必要な建物、広い空地などを持つ建築物、特定行政庁が認めた建築物については、この最低限度の規定から除外されることがあります。

 以下の記事では、それ以外の建築制限について解説していますので、こちらの記事もぜひ併せて読んでみてください。

 外壁の後退距離制限

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