新都市基盤整備法についてまとめてみました。不動産取引の重要事項説明での重要ポイントはこれ!

不動産知識

 こんにちわ。
 コマドリです。

 不動産取引において、購入者に対する重要事項の説明は、安心して物件を手に入れるための重要なステップです。

 この記事では、不動産業に従事している人でもほぼ見かけない法律である新都市基盤整備法についてまとめています。

 新都市基盤整備法とは、大都市圏の健全な発展を促進するために制定された法律で、新しい都市の建設を通じて、人口集中の緩和と宅地需要のバランスを図ることを目的としています。

 この法律は、新都市基盤整備事業に関連する土地取引において、買主への説明義務を課しており、不動産業者にとっても、この法令が該当するのであれば、購入者にとっても説明が必要なポイントとなります。

 本記事では、新都市基盤整備法の概要から、不動産取引における重要事項説明書への影響、さらには新都市基盤整備事業の具体的な内容まで、具体的かつ平易な言葉で解説していきます。

新都市基盤整備法とは?

 新都市基盤整備法についてまとめると以下の通りです。

  • 制定年: 1972年(昭和47年)に制定されました。
  • 目的: 高度経済成長期に伴う人口の都市集中問題に対応し、大都市周辺に新たな都市を建設することを目的としています。
  • 内容: 新都市の建設には、住宅地の開発だけでなく、官公庁医療施設教育施設商業施設などの公共施設の整備も含まれます。
  • 目標: 新都市の建設により、大都市圏の人口集中を緩和し、居住環境の向上と地域のバランスある発展を図ることを目指しています。

 この法律新都市基盤整備事業の施行に必要な事項などを定めた法律となります。

(目的)
第一条 この法律は、人口の集中の著しい大都市の周辺の地域における新都市の建設に関し、新都市基盤整備事業の施行その他必要な事項を定めることにより、大都市圏における健全な新都市の基盤の整備を図り、もつて大都市における人口集中と宅地需給の緩和に資するとともに大都市圏の秩序ある発展に寄与することを目的とする。

新都市基盤整備法第1条

新都市基盤整備事業とは?

 新都市基盤整備事業は、1972年(昭和47年)に制定された新都市基盤整備法に基づく事業で、大都市圏の周辺に新たな都市を建設することを目的としています。
 この事業は、住宅地だけでなく、官公庁、医療、教育、商業施設を含む新都市の建設を促進するものです。

 具体的には、新都市基盤整備事業では以下のような活動が行われます。

  • 基幹施設の整備: 新市街地の開発に際して、基盤となる道路や公園などの基幹施設の整備を行います。
  • 開発誘導区の設置: 開発の核となる開発誘導区を整備します。これは、住宅、官公庁、医療、教育および商業施設などの建設も開発の中核にもなります。
  • 居住規模: 1ヘクタール当たり100人から300人を基準として、5万人以上が居住できる規模の区域において、都市計画事業として施行されます。
  • 土地の買収と区画整理: 地方公共団体が主体となって事業を進め、開発誘導区にあたる土地を買収して整備し、周辺の土地は区画整理の手法により市街地整備を行います。

 新都市基盤整備事業は、大都市の周辺に新たなニュータウンを作るという概念で、新住宅市街地開発事業の拡大版とも言えますが、実際には今まで実施された例はありません

 この事業は、土地の買収と土地区画整理の手法を組み合わせている点で、新住宅市街地開発事業とは異なります。

重要事項説明書と新都市基盤整備法

 不動産取引では、買主に対して重要事項の説明が必要です。

 新都市基盤整備法に関する説明もその一部であり、特に新都市基盤整備事業に関連する土地を取引する場合には、この法律に基づく説明が義務付けられています。

 それでは、どのよう内容を説明するが必要か、について確認をしていきます。

 まずは、宅地建物取引業法施行令を確認します。

(宅建業法第三十五条第一項第二号の法令に基づく制限)
 十三 新都市基盤整備法第三十九条において準用する土地区画整理法第九十九条第一項及び第三項並びに第百条第二項並びに新都市基盤整備法第五十条及び第五十一条第一項

宅建業法施行令第3条第1項第13号

 以上の条文の通り、

 ・新都市基盤整備法第39条(土地区画整理法第99条第1項及び第3項、第100条第2項を準用)
 ・同法第50条
 ・同法第51条1項

 の内容を重要事項説明で説明する必要があります。

 もっと詳しく見ていきましょう。

新都市基盤整備法第39条

 以下の内容を重要事項説明では説明が必要になります。

 (仮換地の指定)
第三十九条 土地整理における仮換地の指定については、土地区画整理法第三章第三節の規定を準用する。

新都市基盤整備法第39条

 新都市基盤整備法第三十九条に関する仮換地の指定について、以下のように箇条書きでまとめました。

  • 仮換地の指定: 新都市基盤整備法において、土地整理を行う際の仮換地の指定は、土地区画整理法の規定に従います。
  • 土地区画整理法の適用: 土地区画整理法第三章第三節では、仮換地の指定に関する具体的な手続きや条件が定められています。
  • 準用の意味: 「準用する」とは、ある法律の規定を他の法律においても適用することを意味します。
     この場合、土地区画整理法の仮換地に関する規定が新都市基盤整備法においても適用されることになります。

 これにより、新都市基盤整備法における土地整理の際には、土地区画整理法に定められた仮換地の指定の規則を遵守する必要があります。
 具体的な内容については、土地区画整理法の「第三章第三節 仮換地の指定」を参照してください。

新都市基盤整備法第50条

 以下の内容を重要事項説明では説明が必要になります。

(建築物の建築義務)
第五十条 施行者から第四十七条の政令において特別の定めをするものを、又は実施計画に基づき敷地を造成した者から教育施設、医療施設、購買施設その他の施設で、施行区域内の居住者の共同の福祉又は利便のため必要なものを建築すべき土地を譲り受けた者(その承継人を含むものとし、国、地方公共団体及び地方住宅供給公社を除く。)は、その譲受けの日から二年以内に、処分計画又は実施計画で定める建築物を建築しなければならない。

新都市基盤整備法第50条

 新都市基盤整備法第五十条に関する建築物の建築義務について、以下のように箇条書きでまとめました。

  • 建築義務の対象者: 教育施設、医療施設、購買施設など、居住者の共同の福祉や利便のために必要な施設を建築すべき土地を譲り受けた者が対象です。
  • 建築義務の例外: 国、地方公共団体、地方住宅供給公社はこの建築義務の対象外です。
  • 建築義務の期限: 土地を譲り受けた日から2年以内に、処分計画または実施計画で定められた建築物を建築しなければなりません。

 この条文は、新都市基盤整備事業において、施行区域内での共同利便施設等の建築を促進するための義務を定めています。
 具体的な建築物や施設の種類、建築の条件などは、処分計画や実施計画によって詳細が定められます。

新都市基盤整備法第51条1項

 以下の内容を重要事項説明では説明が必要になります。

(開発誘導地区内の土地等に関する権利の処分の制限)
第五十一条 第四十一条において準用する土地区画整理法第百三条第四項の規定による公告の日の翌日から十年間は、開発誘導地区内の土地(工業団地造成事業を施行すべき土地を除く。以下この項において同じ。)又は当該土地の上に建築された建築物に関する所有権、地上権、質権、使用貸借による権利又は賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利の設定又は移転については、国土交通省令で定めるところにより、当事者が都道府県知事の承認を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに掲げる場合は、この限りでない。
  当事者の一方又は双方が国、地方公共団体、地方住宅供給公社その他政令で定める者である場合
  相続その他の一般承継により当該権利が移転する場合
  滞納処分、強制執行、担保権の実行としての競売(その例による競売を含む。)又は企業担保権の実行により当該権利が移転する場合
  土地収用法その他の法律により収用され、又は使用される場合

新都市基盤整備法第51条第1項

 新都市基盤整備法第五十一条第一項に関する開発誘導地区内の土地等に関する権利の処分の制限について、以下のように箇条書きでまとめました。

  • 権利の処分の制限: 開発誘導地区内の土地やその上に建築された建築物に関する所有権や地上権などの権利の設定や移転は、国土交通省令に基づき都道府県知事の承認が必要です。
  • 制限の期間: この制限は、土地区画整理法に基づく公告の日の翌日から10年間適用されます。
  • 例外: 国や地方公共団体など特定の主体間の取引、相続や一般承継による権利移転、滞納処分や競売など特定の状況下での権利移転、土地収用法による収用または使用の場合は、この制限の対象外となります。

 これらの規定は、開発誘導地区内での土地取引における秩序を保ち、計画的な都市開発を促進するために設けられています。
 具体的な手続きや条件については、国土交通省令で詳細が定められています。

今後の展望

 現代では人口減少が懸念されており、新たな都市が建設される可能性は低いですが、将来的に新都市基盤整備法の適用が必要となる日が来るかもしれません。

まとめ

 結論から言うと、この法律に基づく新都市基盤整備事業というのはまだ実施されておりません。

 そのため、全国でも重要事項説明で説明を行うということは現時点ではないということをご理解ください。

 いわば、ニュータウンという住宅街開発ではなく、病院、学校やスーパーなどの施設もそのニュータウンに建設する開発を行うのが、この新都市基盤整備事業というものだと思ってもらえればよいかなと思います。

 以上新都市基盤整備事業についてまとめてみました。

 他にも重要事項説明で出てくる法令について記事にしていますのでご参考ください。

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