特定防災街区整備地区について解説します。重要事項説明時におけるポイント

不動産知識

 おはようございます。
 コマドリです。

 不動産を購入しようとしたときに、売買契約の前に、不動産の重要事項説明というものがあります。  
 その重要事項説明の際に、下記内容の説明があります。


都市計画法・建築基準法に基づく制限の概要
地区・街区等特別用途地区
特別用途制限地域
□特別用途地区(                      )
□特別用途制限地域
その他の地域地区等□高層住居誘導地区 □高度地区(種類:   )□高度利用地区
□防火地域 □準防火地域 ☑特定防災街区整備地区 □風致地区
□( 建築基準法第22条地域 )
上記表は一例です。

 専門用語ばかりで聞いたことがないかと思いますが、この記事では上記の中から、「特定防災街区整備地区」について書いていこうと思います。

 この地区は、防災機能の向上と安全な土地利用を目的として設定されており、特定の建築制限や届出義務が存在します。
 以下、その概要と住むうえでの影響について解説します。

特定防災街区整備地区の目的とは?

 特定防災街区整備地区は、大規模な地震や火災などの災害時における市街地の安全を確保するために設けられた地区です。
 具体的には、延焼を防ぎ、避難路の機能を確保するための建築物の防災性能の向上や、敷地面積に関する制限、セットバックによる道路や公園などの防災公共施設の整備が行われます。

特定防災街区整備地区に関する法律

 特定防災街区整備地区に関する法律は、
「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律」(平成9年法律第49号
として知られています。
 この法律は、密集市街地での災害拡大を防止し、防災機能の確保と健全な土地利用を図るために制定されました。

(特定防災街区整備地区に関する都市計画)
第三十一条 密集市街地内の土地の区域については、当該区域及びその周辺の密集市街地における特定防災機能の確保並びに当該区域における土地の合理的かつ健全な利用を図るため、都市計画に、特定防災街区整備地区を定めることができる。
  特定防災街区整備地区は、防火地域又は準防火地域が定められている土地の区域のうち、防災都市計画施設(防災都市施設に係る都市計画施設をいう。以下同じ。)と一体となって特定防災機能を確保するための防災街区として整備すべき区域その他当該密集市街地における特定防災機能の効果的な確保に貢献する防災街区として整備すべき区域に定めるものとする。
  特定防災街区整備地区に関する都市計画には、都市計画法第八条第三項第一号及び第三号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を定めるものとする。
   建築物の敷地面積の最低限度
   特定防災機能の確保又は土地の合理的かつ健全な利用を図るため必要な場合にあっては、壁面の位置の制限
   防災街区整備方針に即して防災都市計画施設と一体となって特定防災機能を確保する建築物を整備するため必要な場合にあっては、建築物の防災都市計画施設に係る間口率(建築物の防災都市計画施設に面する部分の長さの敷地の防災都市計画施設に接する部分の長さに対する割合をいう。)の最低限度及び建築物の高さの最低限度

密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律 第31条

具体的な規制内容について

特定防災街区整備地区に指定された場合、以下のような法規制が適用されます。

  1. 建築物の種類:防火地域や準防火地域内で指定され、建築物の種類に応じた防災性能が求められます。
  2. 敷地面積の最低限度: 敷地面積には最低限度が設けられ、密集した建築を防ぐための規制があります。
  3. 壁面位置の制限: 建築物の壁面位置に関する制限があり、適切な間隔を保つことで延焼を防ぎます。
  4. 防災都市計画施設の間口率の最低限度: 防災都市計画施設に接する建築物の開口部の割合に最低限度が設定されています。
  5. 建築物の高さの最低限度: 建築物の高さにも制限があり、防災上の観点から一定の高さを保つ必要があります。

住むうえでのメリット

 以上の規制内容からも、特定防災街区整備地区に住むことのメリットは、何と言ってもその防災性能の高さにあります。
 上記の1~3まではどこの地域でも規制がかかりますが、特定防災街区整備地区に指定されれば、さらに、4~5の規制が追加でかかることになります。

 4~5の規制はどういうことかというと、簡単に言うと、地震や火災が発生した際の消防車等が現場に容易に侵入しやすいようにするために設けられていることから、このような規制が追加でかけられることとなります。
 ですから、この地域にお住いの場合、災害のリスクが低減され、安心して生活できる環境が整っていると考えられます。
 ただ、規制も多いことから、場合によっては建物を建てるための敷地が減少したり、建築費が通常よりは多くかかってくることも考えられます。

どのような地域で指定されているのか?

 全国的に、62.3ha(623,000㎡)で指定されていますが、そのほとんどの58.0haで指定されているのが、東京都です。
 特に、東京都世田谷区で42.7haの指定があり、その他7区で指定されています。

 残りは、大阪府岸和田市、門真市、兵庫県加古川市で指定されています。
  ※令和年(2022年)3月31日現在、国土交通省HPより。

 つまり、実際には指定地域は全国的には少ないため、重要事項説明で説明される場合は限定的にはなります。 
 以上の地域の不動産購入検討される方は気にしてもらったので良いのかなと思います。

(参考HP)東京都世田谷区役所HP(世田谷区役所周辺地区防災街区整備地区計画)

まとめ

 特定防災街区整備地区は、密集市街地での災害拡大を防止し、防災機能の確保と健全な土地利用を図るために設けられた法律です。

 特定防災街区整備地区では、建築物の防災性能、敷地面積、壁面位置、間口率、建築物の高さに関する具体的な法規制が適用されます。

 特定防災街区整備地区に住むことのメリットは、防災性能の高さです。
 地震や火災時に消防車などが容易に現場に侵入できるようにするための規制がかかっていると考えられ、住環境の安全性が高まり、安心して生活できる一方で、建物建設には制約がかかる可能性があることを考慮する必要がございます。

 特定防災街区整備地区は全国で62.3ha指定されており、その大部分が東京都に集中しているため、不動産購入時の重要事項説明は限定的な地域でのみ必要となります。

以上、特定防災街区整備地区についてまとめてみました。

そのほかにも、
 ・高度地区
 ・高度利用地区
 。高層住居誘導地区
 ・防火地域
 ・準防火地域
 ・風致地区
 ・建築基準法第22条地域
 についても解説していますのでご覧ください。

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