おはようございます。
コマドリです。
都市の発展とともに、私たちの生活環境は大きく変わってきました。
しかし、都市の密集化が進む中で、災害リスクも増大しています。特に、火災や地震などの自然災害が発生した際、密集市街地では被害が拡大しやすく、住民の安全が脅かされることが懸念されています。
こうした背景から、1997年に密集市街地整備法が制定されました。
この法律は、密集市街地の防災性を向上させるための再開発や防災街区の整備を目的としています。
本記事では、密集市街地整備法の制定背景や目的、具体的な規制内容について詳しく解説し、不動産取引における重要事項説明との関係についても触れていきます。
災害に強い街づくりを目指すために、密集市街地整備法の理解を深め、適切な対応を行うことが求められています。
ぜひ最後までお読みいただき、皆様の安全な生活環境づくりに役立ててください。

密集市街地整備法の制定背景
密集市街地整備法の正式名称は、「密集市街地における防災地区の整備の促進に関する法律」といいます。
「密集市街地における防災地区の整備の促進に関する法律」の制定背景を時系列でまとめました。
- 1995年1月17日: 阪神・淡路大震災が発生。多くの密集市街地で火災が発生し、大規模な被害が発生。
- 1995年~1996年: 阪神・淡路大震災の被害を受け、密集市街地の防災対策の必要性が強く認識されるようになる。
- 1997年: 「密集市街地における防災地区の整備の促進に関する法律」が制定される。
この法律は、密集市街地の防災性を向上させるための再開発や防災街区の整備を目的としている。 - 2003年: 法律の一部改正が行われ、防災機能の向上を図るための新たな施策が追加される。
- 2020年代: 各自治体で具体的な防災対策が進められ、老朽住宅の耐震補強や防火対策が強化される。
このように、阪神・淡路大震災を契機に、密集市街地の防災対策が強化される流れで法律が制定されました。

密集市街地整備法の目的は?
「密集市街地における防災地区の整備の促進に関する法律」の目的を箇条書きでまとめました。
- 防災機能の確保:
- 密集市街地における火災や地震などの災害リスクを低減し、住民の安全を確保すること。
- 計画的な再開発の促進:
- 密集市街地の再開発を計画的に進めることで、防災街区の整備を促進すること。
- 土地の合理的かつ健全な利用:
- 土地の利用を合理的かつ健全に行い、都市の機能を向上させること。
- 公共の福祉への寄与:
- 防災対策を通じて、公共の福祉に寄与すること。
この法律は、災害に強い街づくりを目指し、住民の安全と都市の発展を両立させるために制定されました。
(目的)
密集市街地整備法第1条
第一条 この法律は、密集市街地について計画的な再開発又は開発整備による防災街区の整備を促進するために必要な措置を講ずることにより、密集市街地の防災に関する機能の確保と土地の合理的かつ健全な利用を図り、もって公共の福祉に寄与することを目的とする。

密集市街地整備法の規制内容と不動産取引における重要事項説明との関係
まず、密集市街地整備法のどの部分を不動産取引における重要事項説明で説明が必要かを解説します。
宅地建物取引業法施行令を見ていきます。
二十一 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律第三十三条第一項及び第二項、第百九十七条第一項、第二百三十条、第二百八十三条第一項、第二百九十四条、第二百九十五条第五項並びに第二百九十八条第四項
宅地建物取引業法施行令第3条第1項21号
つまり、上記密集市街地整備法第33条第1項、第2項などに記載された規制内容の説明が必要になります。
それぞれまとめていきます。
密集市街地整備法 第33条第1項、第2項
(行為の届出等)
密集市街地整備法第33条第1項、第2項
第三十三条 防災街区整備地区計画の区域(地区防災施設の区域(特定地区防災施設が定められている場合にあっては、当該特定地区防災施設の区域及び特定建築物地区整備計画)又は防災街区整備地区整備計画が定められている区域に限る。)内において、土地の区画形質の変更、建築物等の新築、改築又は増築その他政令で定める行為をしようとする者は、当該行為に着手する日の三十日前までに、国土交通省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を市町村長に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
一 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの
二 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
三 国又は地方公共団体が行う行為
四 都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為
五 都市計画法第二十九条第一項の許可を要する行為
六 第三十六条の規定による公告があった防災街区整備権利移転等促進計画の定めるところによって設定され、又は移転された次条第一項に規定する権利に係る土地において当該防災街区整備権利移転等促進計画に定められた土地の区画形質の変更、建築物等の新築、改築又は増築その他同条第二項第六号に規定する国土交通省令で定める行為に関する事項に従って行う行為
七 前各号に掲げるもののほか、政令で定める行為
2 前項の規定による届出をした者は、その届出に係る事項のうち国土交通省令で定める事項を変更しようとするときは、当該事項の変更に係る行為に着手する日の三十日前までに、国土交通省令で定めるところにより、その旨を市町村長に届け出なければならない。
上記条文を要約すると以下のとおりです。
- 届出の必要性
- 防災街区整備地区計画の区域内で、土地の区画形質の変更や建築物の新築・改築・増築などを行う場合、行為の30日前までに市町村長に届け出る必要があります。
- 届出が不要な場合
- 通常の管理行為や軽微な行為
- 非常災害時の応急措置
- 国や地方公共団体が行う行為
- 都市計画事業の施行として行う行為
- 都市計画法第二十九条第一項の許可を要する行為
- 防災街区整備権利移転等促進計画に基づく行為
- その他政令で定める行為
- 変更の届出
- 届出をした事項を変更する場合も、変更の30日前までに市町村長に届け出る必要があります。
この条文は、防災街区整備地区内での特定の行為(建築行為等)を行う場合には届け出が必要であることを規制しています。
密集市街地整備法 第197条第1項
(建築行為等の制限)
密集市街地整備法第197条第1項
第百九十七条 第百九十一条第二項各号に定める公告があった後は、施行地区内において、防災街区整備事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物等の新築、改築若しくは増築を行い、又は政令で定める移動の容易でない物件の設置若しくは堆積を行おうとする者は、都道府県知事等の許可を受けなければならない。
以下に、第百九十七条の要約を箇条書きでまとめました。
- 公告後の制限:
- 第百九十一条(測量及び調査のための土地の立入り等)第二項各号に定める公告があった後、施行地区内での特定の行為には制限がかかります。
- 許可が必要な行為:
- 土地の形質の変更
- 建築物等の新築、改築、増築
- 移動の容易でない物件の設置
- 物件の堆積
- 許可の取得:
- 上記の行為を行う場合、都道府県知事等の許可を受ける必要があります。
このように、公告後は防災街区整備事業の施行に障害となる可能性のある行為には、都道府県知事等の許可が必要となるということがこの条文には規制しています。

密集市街地整備法 第230条
(個別利用区内の宅地の使用収益の停止)
密集市街地整備法 第230条
第二百三十条 権利変換期日以後個別利用区内の宅地又はその使用収益権を取得した者は、第二百四十四条第一項の公告があるまでは、当該宅地について使用し、又は収益することができない。ただし、第二百二十八条本文の規定により当該宅地の占有を継続することができる場合は、この限りでない。
要約すると以下のとおりです。
- 使用収益の停止:
- 権利変換期日以後、個別利用区内の宅地またはその使用収益権を取得した者は、第244条(工事の完了の公告等)第1項の公告があるまでは、その宅地を使用したり収益を得たりすることができません。
- 例外:
- 第228条(占有の継続)本文の規定により、その宅地の占有を継続することができる場合は、この限りではありません。
このように、特定の条件下で宅地の使用や収益が制限されることが規制されています。
密集市街地整備法 第283条第1項
(建築の制限)
密集市街地整備法第283条第1項
第二百八十三条 施行予定者が定められている防災都市計画施設の区域内において、建築物の建築を行おうとする者は、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事等の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
一 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの
二 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
三 都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為
要約すると以下のとおりです。
- 許可の必要性:
- 防災都市計画施設の区域内で建築物を建築する場合、都道府県知事等の許可が必要です。
- 許可が不要な行為:
- 通常の管理行為や軽微な行為
- 非常災害時の応急措置
- 都市計画事業の施行として行う行為
このように、防災都市計画施設区域内での建築行為には許可が必要ですが、いくつかの例外も設けられています。

密集市街地整備法 第294条
(避難経路協定の効力)
密集市街地整備法 第294条
第二百九十四条 第二百九十一条第二項(第二百九十二条第二項において準用する場合を含む。)の規定による認可の公告のあった避難経路協定は、その公告のあった後において当該避難経路協定区域内の土地所有者等となった者(当該避難経路協定について第二百八十九条第一項又は第二百九十二条第一項の規定による合意をしなかった者の有する土地の所有権を承継した者を除く。)に対しても、その効力があるものとする。
以下、要約してみました。
- 避難経路協定の効力:
- 第291条(避難経路協定の認可)第2項の規定による認可の公告があった避難経路協定は、その公告後に当該区域内の土地所有者等となった者にも効力を持ちます。
- 例外:
- 第289条第1項または第292条第1項の規定による合意をしなかった者の土地の所有権を承継した者には、この効力は及びません。
- このように、避難経路協定は公告後に新たに土地所有者となった者にも効力が及びますが、特定の例外もあります。何か他に知りたいことがあれば教えてくださいね。
このように、避難経路協定は公告後に新たに土地所有者となった者にも効力が及びますが、特定の例外もあることが規制されています。
密集市街地整備法 第295条第5項
(避難経路協定の認可の公告のあった後避難経路協定に加わる手続等)
密集市街地整備法 第295条第5項
第295条 5 避難経路協定は、第1項又は第22項の規定により当該避難経路協定に加わった者がその時において所有し、又は借地権を有していた当該避難経路協定区域内の土地(土地区画整理法第98条第一項の規定により仮換地として指定された土地にあっては、当該土地に対応する従前の土地)について、前項において準用する第291条第二項の規定による公告のあった後において土地所有者等となった者(当該避難経路協定について第二項の規定による合意をしなかった者の有する土地の所有権を承継した者及び前条の規定の適用がある者を除く。)に対しても、その効力があるものとする。
以下、要約してみました。
- 避難経路協定の効力:
- 避難経路協定に加わった者が所有または借地権を有していた土地について、公告後に新たに土地所有者等となった者にも効力が及びます。
- 例外:
- 第2項の規定による合意をしなかった者の土地の所有権を承継した者
- 前条の規定の適用がある者
このように、避難経路協定は公告後に新たに土地所有者となった者にも効力が及びますが、特定の例外もあります。

密集市街地整備法 第298条第4項
(一の所有者による避難経路協定の設定)
4 第項の認可を受けた避難経路協定は、認可の日から起算して三年以内において当該避難経路協定区域内の土地に二以上の土地所有者等が存することになった時から、第二百九十一条第二項の規定による認可の公告のあった避難経路協定と同一の効力を有する避難経路協定となる。
以下、要約すると以下のとおりです。
- 認可の効力:
- 認可を受けた避難経路協定は、認可の日から3年以内に区域内に2人以上の土地所有者が存在する場合、第291条第2項の規定による認可の公告と同じ効力を持つようになります。
このように、避難経路協定は特定の条件下で効力を持つことが定められています。
まとめ
少し長かったため、要点だけまとめてみました。
第33条:
防災街区整備地区計画の区域内での土地や建築物の変更は、30日前までに市町村長に届け出が必要。
通常の管理行為や非常災害時の応急措置などは届出不要。
届出事項の変更も30日前までに届け出が必要。
第197条:
公告後、施行地区内での土地や建築物の変更には都道府県知事等の許可が必要。
許可が必要な行為には、土地の形質変更や建築物の新築・改築・増築などが含まれる。
第230条:
権利変換期日以後、個別利用区内の宅地の使用や収益は公告があるまで禁止。
例外として、占有を継続できる場合は使用可能。
第283条:
防災都市計画施設の区域内での建築には都道府県知事等の許可が必要。
通常の管理行為や非常災害時の応急措置などは許可不要。
第294条:
認可の公告後、避難経路協定は新たな土地所有者にも効力を持つ。
合意をしなかった者の土地の所有権を承継した者には効力が及ばない。
第295条第5項:
避難経路協定に加わった者の土地は公告後、新たな土地所有者にも効力が及ぶ。
合意をしなかった者や前条の規定の適用がある者は例外。
第298条第4項:
認可を受けた避難経路協定は、3年以内に2人以上の土地所有者が存在する場合、公告と同じ効力を持つ。
このように、密集市街地整備法を重要事項説明で説明する内容を記載しましたが、その密集市街地整備法が適用される対象地域で説明が必要は不動産は、
「防災街区整備地区計画区域内」
「防災街区整備事業施行地区内」
「防災都市計画施設区域内」
この3地区内にある不動産が対象となるということです。

密集市街地整備法の対象地域
防災街区整備地区と、防災街区整備事業施行地区について、国土交通省の都市計画調査HPにて確認したところ、
防災街区整備地区は、全国で11都市で指定されており、北海道、千葉県、東京都、新潟県、大阪府(4都市)、兵庫県、沖縄県のそれぞれの都市で指定されています。
防災街区整備事業施行地区は、全国で5都市で指定されており、東京都、大阪府(2都市)、兵庫県、沖縄県で指定されております。
つまり、上記都道府県内の一部の都市で指定されているもので、実際に重要事項説明で説明が必要になる不動産は限定的といえます。
もし対象地かな?と思った方は、「(都道府県名) 密集市街地整備法」で検索するとホームページが出てきますので、ご確認ください。
密集市街地整備法の罰則
重要事項説明をする上で、罰則があることもしっかり説明が必要です。
罰則規定は、第312条~334条まであり、多いので最も重い罰則と、軽い罰則をお伝えします。
【最も重い罰則】
・懲役3年以下、場合によっては7年以下(第312条)
【最も軽い罰則】
・10万円以下の過料(第334条)
第312条 個人施行者(法人である個人施行者にあっては、その役員又は職員)、事業組合の役員、総代若しくは職員、事業会社の役員若しくは職員又は審査委員(以下この条において「個人施行者等」と総称する。)が職務に関して賄賂ろを収受し、又は要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役に処する。よって不正の行為をし、又は相当の行為をしないときは、七年以下の懲役に処する。
密集市街地整備法 第312条第1項
第334条 次の各号のいずれかに該当する場合においては、十万円以下の過料に処する。
密集市街地整備法 第334条
一 第二百十八条第三項において準用する土地収用法第九十四条第六項において準用する同法第六十五条第一項第一号の規定により出頭を命じられた者が、正当の事由がなくて出頭せず、陳述せず、又は虚偽の陳述をしたとき。
二項以下は割愛。

まとめ
・阪神・淡路大震災を契機に、密集市街地の防災対策強化の必要性が認識され、「密集市街地における防災地区の整備の促進に関する法律」が1997年に制定されました。
・「密集市街地における防災地区の整備の促進に関する法律」は、災害リスクを低減し、安全で合理的な都市環境を計画的に整備することを目的としています。
・密集市街地整備法の不動産取引における重要事項説明で、防災街区整備地区計画区域内、施行地区内、及び防災都市計画施設区域内の不動産に適用されることを説明する必要があります。
・密集市街地整備法は、防災街区整備地区内での土地や建築物の変更に対する届出や許可を義務付け、災害リスクを低減するための規制を定めています。
・密集市街地整備法の罰則規定には、最も重い罰則が懲役3年以下(場合によっては7年以下)、最も軽い罰則が10万円以下の過料が含まれます。
以上、密集市街地整備法について解説をしました。
他にも重要事項説明で出てくる法令についてまとめていますので、ご参考ください。