大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法についてまとめてみました。重要事項説明でのポイントはココ!

不動産知識

 こんにちわ。
 コマドリです。

 私たちの生活において、安心して暮らせる「家」は非常に重要です。
 しかし、大都市地域では、人口の集中による住宅不足が深刻な問題となっています。

 そこで政府は、「大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法」を制定しました。

 この法律は、住宅供給を促進し、国民生活の安定向上に寄与することを目的としています。

 今回の記事では、この法律が私たちの生活にどのような影響をもたらすのか、その内容と意義についてわかりやすく解説します。

 さらに、不動産の取引における重要事項説明でも、該当する場合には説明が必要なものとなります。

 該当する方は限定的かもしれませんが、このような法律があるのか、ということでもご理解頂ければ幸いです。

はじめに

 この「大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法」は、通称「大都市法」といいます。(以下、大都市法と言います。)

 この大都市法は、

  • 大都市地域での住宅と住宅地の供給を促進し、
  • 住宅市街地の開発整備に関する方針を定め、
  • 土地区画整理促進区域での住宅地整備を行い、
  • 住宅街区整備促進区域での良好な住宅街区の整備を図り、
  • 中高層住宅の建設を推進し、
  • 都心共同住宅供給事業に必要な事項を定め、
  • 大量の住宅及び住宅地の供給を目指し、
  • 大都市地域の秩序ある発展に寄与する。

 以上のことを目的としています。

 つまり、この法律は、大都市地域での住宅と住宅地の供給を増やし、整備された住宅街区を作ることで、都市の秩序ある発展に貢献することを目的としています。

第一条 この法律は、大都市地域における住宅及び住宅地の供給を促進するため、住宅市街地の開発整備の方針等について定めるとともに、土地区画整理促進区域及び住宅街区整備促進区域内における住宅地の整備又はこれと併せて行う中高層住宅の建設並びに都心共同住宅供給事業について必要な事項を定める等特別の措置を講ずることにより、大量の住宅及び住宅地の供給と良好な住宅街区の整備とを図り、もつて大都市地域の秩序ある発展に寄与することを目的とする。

大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法 第1条

大都市法の制定背景

 大都市法の制定背景には、以下の要素がありました。

  1. 人口密集: 大都市圏では人口が密集し、住宅や住宅地不足が大きな課題となっていました。
  2. 通勤時間の増大: 都心での便利な生活を求めるニーズの高まりと通勤時間の増大が、良質な住宅に対する需要を高めていました。
  3. 災害に強いまちづくり: 災害に強い都市環境の構築が喫緊の課題となっていました。
  4. 住宅供給の促進: 大都市地域の都心を中心に、良質な住宅及び住宅地の供給を促進することが必要とされました。

 これらの点を踏まえ、1975年に「大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法(大都市法)」が制定されたのです。

大都市法の適用される地域はどこにあるの?

 まず、大都市法の「大都市」の定義について確認します。

  • 大都市地域: 東京都の特別区(23区)、首都圏・近畿圏・中部圏の既成市街地およびその近郊にあたる市町村を指します。
  • これには、首都圏整備法、近畿圏整備法、中部圏開発整備法における既成市街地や近郊整備地帯、都市整備区域内の市町村が含まれます。

 以上の指定都市において、大都市法が適用されております。

重要事項説明での説明ポイントは?

 まず、宅地建物取引業法施行令を確認してみます。

(建物取引業法第三十五条第一項第二号の法令に基づく制限)
第3条 九 大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法第八十三条において準用する土地区画整理法第九十九条第一項及び第三項並びに第百条第二項並びに大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法第七条第一項、第二十六条第一項及び第六十七条第一項

宅地建物取引業法施行令第3条第1項第3号

 と規定されています。
 見えにくいので下記箇条書きでまとめてみました。

 記載されている条文は、以下のようになります。

  1. 大都市法第83条:(以下3つの土地区画整理法の内容に準じているため、土地区画整理法の内容を記載。)
    • 土地区画整理法第99条第1項: 土地区画整理事業において、事業計画の変更があった場合、変更後の計画に基づいて換地処分を行うことができる。
    • 土地区画整理法第99条第3項: 換地処分に関する決定があった後、事業計画の変更があった場合でも、その変更が換地処分に影響を与えない限り、換地処分は有効である。
    • 土地区画整理法第100条第2項: 土地区画整理事業における換地処分の決定に対して不服がある場合、決定通知を受けた日から60日以内に審査請求を行うことができる。
  2. 大都市法第7条第1項: 土地区画整理促進区域内での建築物の建築や土地の形質変更などに制限を設けることができる。
  3. 大都市法第26条第1項: 住宅街区整備促進区域内での建築物の建築や土地の形質変更などに制限を設けることができる。
  4. 大都市法第67条第1項: 制限の期間の始期を施行者ごとに定めることができる。

 つまりこういうことです。

  • 土地区画整理促進区域内
  • 住宅街区整備促進区域内
  • 住宅街区整備事業施行地区内
    にあるエリアの不動産で、大都市法で定められた建築規制等がかかるため、その規制内容についての説明が重要事項説明で必要になるということです。

 この3つの地域について概要をまとめてみました。

 これらの区域は、大都市法に基づいて設定されており、それぞれ異なる目的と特徴を持っています。

土地区画整理促進区域

  • 目的: 大都市地域内の市街化区域で、良好な住宅地としての整備促進が必要な区域。
  • 設立: 1975年の特別措置法に基づき創設された制度。
  • 要件: 自然的条件を備えた一体的な開発が可能な区域、既存の住宅市街地に近接していること、土地の大部分が未利用であることなど
  • 建築行為等の制限: 土地区画整理事業によらない土地の形質の変更や建築物の新築、改築、増築を行う場合、大都市法第7条第1項に基づく許可が必要。★重要事項説明での説明ポイント
  • 事業計画の決定: 土地区画整理事業の事業計画に基づいて、公共施設の整備や宅地の利用の増進を図る。

住宅街区整備促進区域

  • 目的: 大都市における住宅や宅地の大量供給と良好な住宅街区の形成。
  • 施行者: 個人、住宅街区整備組合、地方公共団体、都市再生機構、地方住宅供給公社など。
  • 主な要件: 0.5ヘクタール以上の空地が多い土地、都市機能の増進と住宅不足の緩和に貢献できる土地など。
  • 建築行為等の制限: 住宅街区整備事業の施行地区内での建築行為には制限があり、仮換地の指定や使用収益の停止などが含まれ、大都市法第26条第1項に基づく許可が必要。★重要事項説明での説明ポイント
  • 住宅供給の促進: 土地の区画形質の変更、公共施設の整備、共同住宅の建設などによって住宅の供給を促進する。

住宅街区整備事業施行地区

  • 目的: 既成市街地で、老朽化が進行した住宅が密集している地域の改善。
  • 特定区域: 地方公共団体が都市計画区域を定め、不良住宅が密集している地域を特定すした区域を定めます。
  • 事業実施: 住宅の建て替えや改良を進めることで、住宅供給の促進と住環境の改善を図る。
  • 建築行為等の制限: 住宅街区整備事業の施行地区内では、建築行為等に関する許可手続きが必要であり、将来の事業実行に障害となる建築を排除するための大都市法第67条第1項に基づく規制がある。★重要事項説明での説明ポイント
  • 事業の実施: 既成市街地での住宅供給の促進と住環境の改善を目的として、住宅の建て替えや改良を進める。

以下、3つの地域の建築規制の条文を参考に記載します。
具体的な記載があるため、ご参考ください。

(土地区画整理促進区域の建築行為等の制限)
第七条 土地区画整理促進区域内において土地の形質の変更又は建築物の新築、改築若しくは増築をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、都府県知事(市の区域内にあつては、当該市の長。次項及び次条において同じ。)の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
一 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの
二 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
三 都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為

大都市法第7条第1項

(住宅街区整備促進区域の建築行為等の制限)
第二十六条 住宅街区整備促進区域内において土地の形質の変更又は建築物その他の工作物の新築、改築若しくは増築をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、都府県知事(市の区域内にあつては、当該市の長。次項において同じ。)の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。
一 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの
二 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
三 都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為

大都市法第26条第1項

(住宅街区整備事業施行地区の建築行為等の制限)
第六十七条 次に掲げる公告があつた日後、第八十三条において準用する土地区画整理法第百三条第四項の規定による公告がある日までは、施行地区内において、住宅街区整備事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物その他の工作物の新築、改築若しくは増築を行い、又は政令で定める移動の容易でない物件の設置若しくは堆積を行おうとする者は、都府県知事(市の区域内において個人施行者若しくは組合が施行し、又は市が第二十九条第三項の規定により施行する住宅街区整備事業にあつては、当該市の長)の許可を受けなければならない。
一 個人施行者が施行する住宅街区整備事業にあつては、その施行についての認可の公告又は施行地区の変更を含む事業計画の変更(以下この項において「事業計画の変更」という。)についての認可の公告
二 組合が施行する住宅街区整備事業にあつては、その設立についての認可の公告又は事業計画の変更についての認可の公告
三 都府県又は市町村が第二十九条第三項の規定により施行する住宅街区整備事業にあつては、事業計画の決定の公告又は事業計画の変更の公告
四 機構又は地方公社が第二十九条第三項の規定により施行する住宅街区整備事業にあつては、施行規程及び事業計画についての認可の公告又は事業計画の変更についての認可の公告

大都市法第67条第1項

まとめ

・大都市法は、大都市地域における住宅と住宅地の供給を促進し、整備された住宅街区の形成を通じて都市の秩序ある発展を目指すことを目的としています。

・大都市法は、人口密集と通勤時間増加による住宅需要の高まり、災害に強い都市環境の必要性、及び都心部での住宅供給促進の必要から1975年に制定されました。

・大都市法における「大都市地域」とは、東京都の特別区や首都圏・近畿圏・中部圏の既成市街地及びその近郊市町村を指し、これらの地域に法が適用されています。

・大都市法に基づく規制は、土地区画整理促進区域、住宅街区整備促進区域、住宅街区整備事業施行地区内の建築物の建築や土地の形質変更に適用され、重要事項説明での説明が必要です。

 以上、大都市法についてまとめてみました。

 実はこの大都市法は、似たような法律で、「大都市地域における特別区の設置に関する法律」という法律も、大都市法と言われている地域もありますので、混同しないようにきをつけてください。

 最近で言えば、数年前にあった「大阪都構想」というものが、この法律に基づいて進められていました。

 気になる方は調べてみてください。

 他にも重要事項説明で記載のある法律について記事でまとめていますので見てください。


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